大熊町民話シリーズ第2号 民話 野がみの里 - 048/056page
半時ほどして仁太郎が目をさますと、さきほどの若者の姿は見えません。そしてウンウンうなって寝ていた仁四郎はふとんの上に坐って「お父さん、とってもよくなったよ。あしたはすっかりよくなる。」といいました。
仁太郎夫婦は思い出しました。あの若者はお地蔵さんであることを。早速雪の中をかきわけてお地蔵様の所へかけつけました。夫婦はびっくりしました。
お地蔵さんは雪の中にころがって首がもげていました。
《第二十四話》
姥田(うばた)の池 (野上)
むかし。
野上の里に片倉主水(もんど)という豪族が住んでいました。大へん静かな里でしたので主水も胆人も幸せな毎日を送っていました。城のある山を里人は片倉山といっていました。
城下には人々も住みつき、小さな町もできましたが、何分にもせまい谷間でしたので、家来の