大熊町民話シリーズ第2号 民話 野がみの里 - 049/056page

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多くは野上の里で百姓をしながら城を守っていました。

平和になれた家来たちは、時々見張りを怠っていました。これを知っていた隣の城主が、雨嵐の中を攻めて来ました。

城の番兵が早鐘をついて急を知らせました。野上の兵が城にかけつけた時、城は包囲されて中に入ることはできませんでした。

そのうち城の士たちも敵の一角を打ち破り北の方へ逃げのびました。城下には誰一人残っておりません。

その中に年のころ八十ばかりの姥が一人取り残されました。逃げることもできず、さりとてこのままでは敵に捕えられます。

「諏訪大明神助け給え。」としばし目をつぶってお祈りしているうちに、すぐ目の前の手作りしていた小さな田が忽ち大きな池となりました。そして池の中には、きれいなハスの花が咲いていました。姥はこここそ神様が私に与えて下さった逃げ場所だと思い、両手を合わせてざんぶとばかり身を投げました。

今はその池の跡はありませんがきれいな清水がこんこんと流れ出て尽きることがありません。

里人は姥の霊をなぐさめるため神様にまつりました。姥神様といいます。地名にも姥神という


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