大熊町民話シリーズ第2号 民話 野がみの里 - 050/056page
ところがあります。また舘のあった下を舘下、近くの沢を舘沢とよんでいます。
《第二十五話》
厄病神 (大川原)
むかし。
大川原には毎年厄病(腸チフス)がはやりました。析祷(きとう)をしても、神仏にお願いしてもさっばり効果がありません。
部落の人々は「厄病神はエザリ(歩けない)だからどこにも行けないのだ。」と話しあいました。これを聞いた若者三人はある夜、患者の家を訪れました。病人は高い熱でウンウンうなっていました。若者はいいました。「いい所につれてゆくかんな。」と。患者は「ウン。」と答ました。若者は背をむけて、おぶうしぐさをしました。他の二人はごちそうを持っています。オゼンとハシも持ちました。道平を通り北に向いました。余り時間をかけると厄病神が目をさまします。年貢(ねんぐ)道路の十文字がよかろうと厄病神をおろすしぐさをしました。オゼンの上にごちそうを並べ