大熊町民話シリーズ第2号 民話 野がみの里 - 051/056page
て足音をたてないように帰りました。
翌朝コッソリ年貢道路にいってみると、ゴチソウはペロッとなくなっていました。厄病神はどこへ行ってあばれまわるだろうと人々は話し合いました。
《第二十六話》
羽黒の大蛇 (下野上)
羽黒のつつみは九十九沢もあるといわれます。周囲一面は松の大木で昼なお暗い森でした。ここに大きな大蛇が住んでいました。昼は沢に休んでいるので人目につきませんでした。
ある朝です。村のバアさんはぜんまい取りに行きました。夜のあけないうちに家を出て沢に入りました。誰もいない沢でコシコ(なわであんだ物入れ)に一ぱいとりました。北向(きたむかい)に出ようとつつみのふちを通ると向うの沢に大きな材木が浮かんでいます。珍しいことでもないので気にもとめませんでしたが、よく見るとこちらにだんだん近よって来ます。
「ああ、あれは大蛇だ。」とバアさんはびっくりしてしまいました。ワラビもカマもすてて一