大熊町民話シリーズ第3号 民話 野上川 - 004/024page
ポトリと落ちました。オタカはこの山仕事が大好きでした。こうして十年程働いていたオタカは若くして病死しました。
誰いうともなくこの森はオタカ森と名づけられました。今はそこに三角点があり、小高森とも大高森ともよばれています。
《第三話》
サル酒
野上の里に作兵衛というじいさんがいました。春は山菜とり、秋はキノコどり、阿武隈の山なみは作兵衛にとっては自分の庭のようなものでした。
ある年の秋でした。作兵衛はキノコとりにでかけましたがその年は今までにない暑い夏で雨もなかったのでキノコはさっばり出ていません。少しもとらないで家に帰るのは山男の恥とばかり作兵衛は奥へ奥へと行くうち、来たことのない山に入ってしまいました。変な所だなとあたりをよく見ているといい香りがします。香りをたどってみると大きな木のうつろに何かあるようです。