大熊町民話シリーズ第3号 民話 野上川 - 007/024page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

方になると堪えられなくなりました。孫兵衛は「バアさまやおれたちは間もなく死ぬだろう。こうして抱き合って死んでいるとみんなに笑われる。離れて死のうな」といって一間程離れました。

しかし淋しくて仕方ありません。「バアさんや!」「ジイさんや!」と二人は何べんも呼び合いました。あした村の人が探しに来て二人が石になっているのをみつけました。今でも夜中になると「バーさんや!」「ジーさんや!」という声がかすかに聞こえてくるそうです。

 《第五話》

  ばくち石

野上川の上流にばくち石という大きな石がありました。川の真中にあって上は平で五〜六人の人が座れる程の広さがありました。
その頃はまだ道路がありませんでしたから、近くの人たちはその石の上でバクチをしていたのでばくち石と呼ばれるようになりました。
このバクチで一日にして長者になる人もあり一日にして夜逃げする人もいました。


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は大熊町に帰属します。
大熊町の許諾を受けて福島県教育委員会が加工・掲載しています。