大熊町民話シリーズ第3号 民話 野上川 - 010/024page
一人の子どもがふごを上げてみるとたった一匹。
「なあんだ一匹だよ。」
「いやつれたのは昨日だよ。」
「なあんだ。」
じいさんこの頃年のせいか余り家を出ませんでした。一人の子どもがじいさん宅を訪れました。
「よく来たな。何しに来たの。」
「じいさんのうそ、聞きにきた。」
「そうか。あいにくだよ。おれも年とって、うそつけなくなったよ。時に熊川のお前のばあさん大へんあんべえ悪いって聞いたがどうした。」
「なに、ばあさんが。」
「なんだ知らねえのか。すぐ行ってみろ。」
子どもは家に帰って行くと熊川のばあさんが遊びに来ていました。