大熊町民話シリーズ第3号 民話 野上川 - 011/024page

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 《第八話》

  オチョウばあさん

むかし。
北向の里にオチョウというばあさんが住んでいました。このばあさんは金もうけの上手な人で一代で大金をためました。
ばあさんは田畑もたくさん作っていましたが年貢米を出すと家で食べるのはオカボ、くず米、麦などで、上等の米は全部みんなに貸しました。大ていの百姓は年貢を出すとやれやれ一安心とタラフク食っている中、米がなくなってしまいます。それで米もちの人から借りて食うのです。

新米で二倍払うのがならわしでした。
オチョウばあさんは一倍半にしました。米のなくなるのは五月から九月頃まで、払うのは十二月までです。オチョウばあさんは本当に困る人には貸しただけもらいました。

オチョウばあさんはお金も貸しました。普通は年一割二分から一割五分、高い人は二割以上でした。オチョウばあさんは一律最低の一割二分にしました。ばあさんの徳は部落はおろか他部落まで評判が高くなりました。年の暮など「門前市(いち)をなす」。という程人々が来ました。米や金を持


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