大熊町民話シリーズ第3号 民話 野上川 - 012/024page
って来たのです。ばあさんはもらった金を金(きん)の枡(ます)ではかりました。当時は小銭(こぜに)が多かったのです。
ばあさんは死ぬ前にお金(かね)をみんなに分けて上げましたが、金(きん)の枡はだれにもくれませんでした。
しかしこの枡は今誰の手に渡っているかわからないそうです。《第九話》
木の根坂藤兵衛
むかし。
大川原には人が住んでいませんでした。土地がせまく水もなかったからです。しかしこの地はいわきとの境でもあり三春藩に通ずる重要な道路も通っています。相馬の殿様は何とかこの地に士をおいて藩境を守らせようと考えました。この地に来た士には特別の思典を与えることにしました。まず山一五〇町歩は自由にしてよい。地味は下の下にして年貢は安くする。馬を買う金は貸す。
ここに集った士たちはここで農業しながら士の仕事もするのです。しかし他部落から遠く離れ