大熊町民話シリーズ第3号 民話 野上川 - 018/024page

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しい。構造改善で底もコンクリート巻きの用水路になり「子供らザッコ取りもできん。致し方ないけど……」と心のふるさとが消えていくのが古老に寂しい。

長者屋敷の今の主は小田忠治さん。「私は六代目。初代は越後から来ているので、長者の子孫ではないと。先祖は相馬藩の開拓移民募集でやって来て、偶然にも長者屋敷に入植したらしい。
小田さんの屋敷は百米四方ばかりで、隣家に及ぶ大規模な土手などの遺構がある。小田さんは遺構はこわさないようにしている。由緒ある屋敷跡で暮らせて気分はいいと。

「お振舞いのあと沼で洗うおぜん。おわんをつけた牛が沼にはまったと聞いている」と小田さんは話し、長者さまの急死の原因を食中毒と推測する人がいる。
長者屋敷を継いだ小田さんも、町でトップクラスの農家である。

以上が全文である。野上の里の味気ない話もこんなにりっぱな話に変るものだとつくづく関心する。

《第十二話》

  道 祖 神


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