大熊町民話シリーズ第3号 民話 野上川 - 021/024page

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広さでそこには一面芝生が生え、木は一本も生えていません。南向きで日当りがよく風も当らないので冬子供らが遊ぶには格好の丘だったのです。はじめはデンゴロデンゴロと転がって下りたのでデンゴロ山という名がついたのでしょう。そればかりでは面白くないので一枚の小板を持って来ました。

その板にローソクをぬると板はとぷように坂をすべります。長い板を持って来て二人三人ですべる人もいました。ただ下の方に一寸したガケくづれがあったので落ちるとケガをします。それをよけながらすべるのが面白いのでした。またソリをつくって来てすべる人もいました。

日暮になると部落の子ども達は誘い合ってこの山で遊びました。すべるだけでは面白くありません。近くに金谷のつつみがあります。フナがたくさんいてよくつれました。冬になると氷がはります。日かげの所で氷すべりをしましたが氷が割れたことはありませんでした。春になるとどこにでも「じじばば」というらんの花が咲きます。根が浅いのでだれでもとれますが珍らしくもないので余りとりません。夏はどこへでも山百合の花が咲きます。しかしこれは深くて掘るのは容易でありません。この山の近くで色々のことをして遊んだのです。

しかしいたづらも結構やりました。ある日三人の子どもが山の方に入って行きました。一人の子どもがマッチを持っていたのです。木の葉を集めて火をつけて手をあぶっている中突風が吹い


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