川内村民俗芸能のしおり -017/041page
ら、西山・町・西郷獅子と同じ系統で、吉田久次の伝授になるものと思われる。
西郷獅子
名称と所在地・・・西郷地区は、大字上川内に属し、久保、中島、遠上、迎原、長綱の五つ の小字からなり戸数は約七〇戸である。ここの獅子舞も地名をとり「西郷獅子」と呼んでいる。 舞は「山がかり」である。行われる時期と場所・・・西郷の鎮守で字三合田に鎮座する諏訪神社の春秋の例祭に境内で奉納される。 祭日は、かつて春は旧暦四月七日、秋は同七月二十七日であったが、昭和三十八年からそれぞれ 新暦五月五日と同九月七日になり、さらに昭和五十八年より秋の例祭が九月十五日になった。
なお、大正末期まで秋の祭礼には、社前で奉納した後、各戸でも舞ったことがある。管理と組織・・・青年団によっている。大正初期までは警備組といった。青年団には義務教育を 終えて加入し、三五歳で退く。役員には団長、副団長、会計各一名のほか、庶務係を置いている。
宿は、宮本といい、明治初期までは常宿であったが、以後、久保、中島、遠上・迎原を三組に分け、 二年を任期とする順番制でつとめている。各組とも団員のいる家から話し合いで選出する。 なお、長綱は神社までの距離があるため、宿はつとめないことにしている。
練習は農閑期の二月に一週間、「立替え」の年は十日間程度宮本で行う。師匠には青年団の 径験者があたる。祭礼前夜宮本で「笠揃い」があり、ひと庭披露する。祭礼当日は夕方から宮本で 「笠抜き」があってひと庭舞う。演者と衣装・・・獅子は、太郎・次郎・雌獅子の三匹で、小学校二年から中学卒業までの長男が勤める。