わたしたちの郷土楢葉町 楢葉町小学校社会科教師用資料 - 099/110page

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○ 暮 市  くれいち いちのまち つめいち いちおい

 南地区(旧木戸村)は26日、下小塙町通り、北地区(旧竜田村)25日井出町通りに出店が並び賑やかに開かれ、お歳暮、お年始用品や正月用品、日用品、越冬の衣類、農具などを購入した。特に南地区の暮市は江戸時代からの古い歴史がある。(廃絶)

○ 餅つき  28日  (25日頃から搗く家もあった)

 正月に供える餅、食べる餅、お年始に贈る餅を搗く日である。前に作っておいた餅米、粉(餅とり粉または粉餅をつくる)をふかし、臼に入れ杵で搗いて餅をつくり重ね餅(丸く大きい餅)、ふくで餅(丸く小さい餅)にした。

 餅つきの日は早朝から搗き始め午前中いっぱいかゝる。餅の量は家庭によって異るが2斗(30キロ)が普通で4斗(60キロ)も搗く家もあった。

 炊き木は節木を用いる。29日の餅搗きは苦の餅といって忌む。

○ お正月さま迎えと正月飾り

 餅搗きが終ると主人か長男はお正月の迎えに山に行き、松飾りの材料になる松、榊、はなの木を採取する。松の切り株には持参した餅かおさご(米)を供え、松などを背負って帰る。家では縁側(廊下)か座敷に立てておく。

 〆づくりはこの日の夕方から29日にかけて作る。〆飾りのわらは今年とれたわらを使う。わらは水にしめしておき、〆縄、おたが(たが正月ともいう、縄の輪)、こぼう縄、宝船などを作り榊・松・ご幣紙を付ける。

 お飾りは先にお受けしてある皇太神宮・お正月さま(歳徳神)・お窯さま(火の神)のお礼(南地区大谷も含むでは木戸八幡神社、北地区では竜田神社)を神棚にお祭りする。(神棚とは別に正月棚をつくる家庭もある)

 神棚にはふくで餅2つとみかんを重ねて大神宮、歳徳神、お窯さまのお札の前に供え、大神宮には宝船、歳徳神、お窯さまにはおたがを飾る。

 床の間には鏡餅を供え、みかん、干柿、昆布などの縁起物を添える。玄関や部屋毎の出入口には〆縄を張る。氏神さま、台所、風呂場にも供える。台所には若水(正月の行事に使う水)の手桶と柄杓(ひしゃく)(毎年新しいもの)を備えておく。柄杓には餅を紙に包み水引きで結ぶ。

 屋外には門松飾りのほか、井戸・川・棟のある建物の出入口、種籾俵におたがを飾る。(31日の飾りは忌む)


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