いわき市教育委員会指定 平成9・10年度 研究実践校報告-02/40page

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以上のような理由から,一人一人の児童が,自ら,課題を追究し,互いに高まり合える授業の在り方を算数科の学習を通して研究するために,本主題を設定した。
3 研究主題についての基本的な考え方
(1) 「数理的に処理するよさを味わう」とは
 「数理的に処理するよさ」とは,計算処理の方法などがより能率的にならないか,まとめの表現や解決の仕方などが簡潔,一般的にならないか工夫していくことと,さらに,正確であることなどが考えられ,このような処理の仕方の必要性やすばらしさに気付くことが「よさを味わう」ことになる。
多様な見方や考え方が不足している本校の児童に,答えは1つでも,そこに至る道筋はいくつかあり,より良い考え方を見付けるために,自分の考えばかりでなく,他の考えも理解して比べていく態度を持たせる必要から,算数科の特性である「数理的な処理のよさ」を研究主題に位置付けた。(
2) 「生きて働く基礎的な知識と技能」とは
 学習した内容を日常生活の様々な場面で活用したり,役立っていることに気付いたりできる場合「生きて働く基礎的な知識と技能」が身に付いたと考えられる。また,日常化が十分図られなくても,授業で得られた内容が,次の授業への意欲や課題解決の能力となっている場合も同様である。これは,知識や技能が,いわゆる基礎学力の3つの力における「学んで得た力」となることである。
また,本校では「生きて働く」力を,学習指導面とともに,生徒指導的な面にも結び付けてとらえ,児童が「他人や集団と主体的,共感的に関われる態度」を持つために,自分の考えを持つ能力,考えを発表する能力,他の考えを受け入れる能力を,授業を通して養うことを研究に含めた。
4 授業で目指す児童の姿
(1) 学習課題の自力解決に進んで取り組み,自分の考えを持つことができる子ども
(2) 自分の課題解決の方法を,他の人に分かり易く,筋道立てて表現できる子ども
(3) 他の人の考えを認めながら,自分の考えと比べ,より良い方法に気付く子ども
5 研究の見通し
既習事項の習熟や具体的な操作などの活動を通して,自ら,課題追究するとともに,個を生かすような学習形態の工夫をすることにより,互いに高まり合う活動ができるようになれば,生きて働<基礎的な知識と技能を身に付けられるのではないだろうか。
本校では,児童に,「自ら,課題追究すること」と「互いに高まり合う活動ができること」の2つの面が育つような実践を通して,研究主題の達成に努めた。
「自ら,課題追究する」には,特に,算数を苦手としている児童の自力解決を行うための意欲や能力を必要に応じて高めなければならない。その手立てとして,「既習事項の習熟」と「具体的な操作」による指導や援助の方法を取り上げた。また.「互いに高まり合う活動」については,児童の実態を考え,「学習形態を工夫すること」を中心にして,一人一人の活動の充実と,集団思考の適切な在り方を目指した。
「自ら,課題追究する」と「互いに高まり合う活動」は,授業において密接に関連しているため,前半の課題追究が十分でない場合,後半の高まり合う活動も成立しない。このため実践では,児童の課題追究能力の向上について,最初に取り組むようにした。


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