いわき市教育委員会指定 平成9・10年度 研究実践校報告-10/40page

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2 授業を支える活動の充実のための実践
主に「学習コーナー」の工夫と,「チャレンジ問題」の活用を通して,授業を支える活動を目指した。
「学習コーナー」の工夫の1つとして,児童が活動できる場の設置が挙げられる。例えば.リットルますと,ペットボトルなどの容器を水道の近くに置いて,水のかさを自由に測れるコーナーを設けた。これにより,児童はかさの単位や量感を楽しく,自然に得ることができた。同様に,校舎内外の様々な環境を使って,特に「量と測定」領域の学習内容を,実際に確かめたり,体験できるようにした。
また,教室内には,既習の内容を掲示して,授業で活用できるようにした。児童にとっては,視覚を通して常に学習内容を確認するのに役立てられた。上学年では.学習コーナーの内容のまとめや記入を児童自身に行わせたため,活用への意欲を一層高めることができた。
「チャレンジ問題」は,基礎的な学習内容のテストを学年で作成して,児童一人一人の既習事項の定着の様子を把握するのに活用したが,特に,下位児童の評価と指導に有効であった。また,正答率や誤答例などの分析を行い,全校で考察したため,全学年の単元や領域の系統性を踏まえた上での,陥没内容や分野について共通理解が得られ,効果的な指導につながった。
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3 研究のまとめ
1 研究の成果
研究の見通しを実践した成果として,一人一人の児童力が,課題に対して自分の考えを持てるようになったことが挙げられる。既習事項の定着や活用,操作活動などによる,指導・援助を通して,自力解決力を高められた。また,小集団による学習の形態を取り入れたことによって,発表への抵抗が少ないグループの中で,常に,自分の考えを表せる機会を与えられたため,発表への自信と表現力の向上が得られた。それに加えて,別な考えを理解しようとする態度をお互いに持ったことは,自分の考えが,受け入れられるという安心感につながり,児童の積極的な活動及び授業や集団への一体感に結び付いた。
このように,基礎学力における思考力や表現力などの「学ぶ力」の向上と,生徒指導の機能の活用を中心にした授業の改善・工夫から,多くの児童に学習への主体的な参加態度が身に付いた。さらに,数理的な処理のよさを理解させる算数科の特性を生かした授業を目指したことにより,自分の考えを「持つ,表す,他の考えと比べて見直す」という児童の学習活動も充実した。
2 今後の課題
研究実践から,授業における児童の主体性や活動の充実が見られるようになったが,さらに,生きて働く力を伸ばすために,学習で得られた内容の日常化を図ることが,今後の課題である。具体的には,生活の中で算数のよさの活用に気付いたり,既習の内容を必要な場面に適用したりする態度や能力の育成に取り組むことである。このような態度や能力は,身の回りの事象から,児童が自分で課題を見付けて,解決する意欲につながり,授業においても,より積極的で充実した活動が可能になると考えられる。
校長   小室寛治
研修主任 佐藤悦弘


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