いわき市教育委員会指定 平成9・10年度 研究実践校報告-20/40page

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3 研究の成果と今後の課題
本校では,いわき市教育委員会より研究実践校の指定を受け,「一人一人のよさや可能性を生かし,基礎・基本を身につけ,豊かに表現できる子供の育成 ―物語文の指導に着目して― 」という主題に向かって,全職員共通理解のもとに研究実践に取り組んできた。1年次は,低,中,高学年ブロック内の授業研究と,朝の活動に学習する時間を取り入れた「あすかいタイム」の研究と実践。2年次の授業研究では校内授業を行い,授業の改善に取り組み,「読書タイム」を加え,実践してきた。授業の質の向上や授業内容の日常化について取り組んできた中で,児童が変わっていく姿を見たとき,研究し,実践してきた苦労が実感できる。これからも,今までの研究を基盤にし,残された課題に向かって研究を積み重ねていきたい。
1 研究の成果
授業研究では,ブロック内を中心として研究を推進してきた。その成果は校内研修全体会で共通理解を図り,校内授業の中で研究を深めてきた。
(1) 学習計画の工夫に関して
 (1) 物語文における基礎的・基本的な内容を抑えることにより,正しく読み取る力が育ちつつある。
 (2) 初発の感想を取り上げることにより,その後の学習計画を作成する上で,授業を意欲的に取り組むことができるようになりつつある。
 (3) 終末段階において,自分なりの物語文に対する感想のまとめの時間を確保し,それを発表することにより,児童は,さまざまな考えに触れ,自分なりの表現ができるようになりつつある。
 (4) 一人読みの時間を確保することにより,読むことに抵抗を持った児童が少なくなりつつある。
(2) 児童の多様な読み取り方を引き出すための工夫に関して
 (1) 理解を深めさせるための動作化の指導,音読,役割読みを取り入れることにより,描写や表現の美しさ,言葉の響き合いなどについて感じることができるようになってきた。また,繰り返し音読することにより,新しい発見を促し,深い読みにつながってきた
 (2) ねらいにそった部分を視写させることにより,児童はその部分に目を向けることができ,表現上の工夫やめあてにそったキーワードに気づくようになってきた。
 (3) サイドライン・吹き出し・ワークシートの活用などの書く活動の多様化を図ったため,文章の叙述に即した人物の心情を深く考えながら書けるようになってきた。
 (4) 書く活動によって自分の考えをまとめたり,自分の知っている言葉で置き換えたり,言葉から受けるイメージを考えたり,想像したりすることにより自信を持って自分の考えを発表できるようになってきた。
(3) 教師の支援に関して
基礎・基本的内容を明確にして,挿し絵・具体物・資料などの活用,板書構成の工夫がなされてきた。
2 今後の課題
本校では読解に主に書く活動を取り入れた関連指導を中心に据えて研究を進めてきた。その結果,読み取る過程に視写,書き込みなどさまざまな活動を取り入れたことにより,書くことを苦手とする児童が少なくなりつつある。今後は,これまで身に付いたことや学び方を,どのようにその場に応じて生かしていくかを研究していく必要がある。
(1) 読み取ったことを積極的に表現しようとする児童の育成を図っていく必要がある。
(2) 授業における個別化の対応をどのように図っていくかを考えていく必要がある。
校長   小幡紘夫
研究主任 宮川利夫


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