いわき市教育委員会指定 平成9・10年度 研究実践校報告-21/40page
基礎学力の向上を図る授業改善の工夫
いわき市立三和中学校
1 研究計画
1 主題設定の理由
(1) 時代の要請から
今日の社会は、科学技術の進歩と経済の発展が急速で、物質的な豊かさを与えるとともに、国際化・情報化の広がりが見られるので、これからの社会と児童生徒の生活や意識の変容を考慮しつつ、生涯学習の基礎を培うということから、21世紀を目指し「社会の変化に自ら主体的に対応できる心豊かな人間の育成」を図ることが求められている。
このことをふまえ、学習指導要領では、「学ぶ意欲」や「社会の変化に対応できる能力の育成」、「個を生かす教育の充実」、「基礎的・基本的な内容の徹底」をあげており、基礎的・基本的な内容が重要であるのは、子供たちが新しい学習を創造的に進めていくために必要であるとの考え方に基づいている。そして、基礎的・基本的な内容を子供たちが身に付ける必要がある、関心・意欲・態度や思考力、判断力、表現力、及び知識・理解、技能などの資質や能力ととらえて、新しい学力観に立った学習指導を充実させていく必要がある。
そのため、情意面と認知面の相互作用を重視した学習を展開しながら、授業の充実・改善を中心に据え、学校全体の組織を挙げ取り組んでいかなければならないと考える。
(2) 本校の教育目標から
本校では、「意欲的に学習に励み創造性のある生徒」「自主性に富み責任感のある生徒」「心身ともに健康で体力のある生徒」の3つを教育目標に掲げ、学校生活のあらゆる場と機会をとらえて、その具現を目指し指導に当たっている。教育目標の目指す生徒像とは、「内発的な意欲や主体的な態度で、自分の見方や考え方を持ち、自己を表現することができる生徒」の姿ととらえることができる。
これは、研究主題「基礎学力の向上を図る授業改善の工夫」の展開において目指すべき生徒像と同じであると言える。生徒が心豊かに主体的、創造的に生きていくことができる資質や能力の育成を目指した時、基礎的・基本的な内容の定着が課題となり、教育目標の具現を図るうえでも重要であると考える。
(3) 本校の生徒の実態から
本校生徒の実態として、次のことがあげられる。
(1) 素直な生徒が多く、興味・関心を持って学習に取り組んでいる。
(2) 与えられた課題に対しては、協力して真剣に取り組むことができる。
(3) 教師の指示がなければ主体的に課題を探し、追究することができない生徒が多い。
(4) 自分の考えを表現する力が十分に育っていない。
このことは、新しい学力観に基づいた学習指導の不十分さが大きな要因と考えられる。
以上のような理由から、「基礎学力の向上は、実践が一番重要である」を合言葉とした取り組みを更に充実しながら、日々の実践の中で「生きて働く力」となって生徒に返っていけば、基礎学力の向上が図れるものと考え、本研究主題を設定した。