須賀川市立博物館図録 俳諧摺 上 -071/113page

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山の陰動かす小田の蛙(かわず)かな   蕪 栄
梅か香や机の塵(ちり)の眼にさはる   祗 年
腰のすや朝顔蒔(まき)て遠詠(なが)め   冬 松
垣こしの梅はひらくに美わさ哉(かな)   素 席
 
遠のいて殊勝(けなげ)に聞や雉子(きじ)の声 青森 酢 泉
釈教(しゃくきょう)の部にも入たし木蓮花(もくれんか)   甫 貞
なかるゝや何処(どこ)の門にも春の水   始 考
一人行て見れは友あり花の中   龜 年
手向はや念入れて折花の枝   飴 仁
日を経ても其香忘(そのかわすれ)す梅の花   秋 勇
見尽くした噺(はなし)はきかすちる桜   童 妓
余所(よそ)眼にも根つよき色やさし柳  
 
  亡父の三年忌に    
  香を捻(つまみ)て    
春さむし大切な日を鐘かなる   甫 山
霞(かすみ)にも雨にも三とせ思はるゝ   甫 川
 
  七とせ以前にや仮初(かりそめ)に面を    
  合せて交りを結し外か浜    
  青森の甫赤老みまかり給(たも)ふて    
  ことし大祥忌(たいしょうき)といへる消息に    
  薫沐(くんもく)して    
翅(はね)あらは行て手向ん奥の花   等 栽
 
丑のとし 鴎波書 印    
     

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