須賀川市立博物館図録 俳諧摺 上 -079/113page

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万歳にあり丈ひらく戸口かな     三 石
のとかさに老も気かるの門出哉(かな)   水 哉
白梅や旭のむかふ地の高み   喜 風
南気(みなみげ)に流れの音や春の月   掬 露
深山(みやま)まてもらぬは花の月日かな   道 見
留主(るす)の戸を蝶(ちょう)の守りし日和哉(かな)   東 石
かれ枝にすかりて咲ぬ藤の花   匠 人
鍋(なべ)炭の流れに浮くやなく蛙(かわず)   一 静
年積て松の位や若みとり   雲 庵
欄干やなかれの底も月と梅   夢 庵
  甲寅春          鴎波書  印   
 

16 新年摺

藪(やぶ)川やうら戸うら戸のうめの花   蒼 文字
眼つゝきに楓(かえで)ひかへてはつさくら   卓 池
若枝や白のひとへの梅のはな   得 蕉
寒うても彼岸のうちや麦はたけ   一 具
川口に綱やいかりやはるの月   梅 室
向やうのまてむつかしきそはしめ   多代女
梅折て踏あらしけり雨後の庭   山 雄
支度ほとつますにもとる若菜哉(かな)   五 徳
思ふ図にうくひす来たり杖(つえ)の先   笑 楽
印籠(いんろう)のつま木にさはる二月かな   鳳 毛
雉(きじ)鳴や柴胡(さいこ)の雨のむらかわき   丁 知
折ほかに思案もつかぬ野梅かな   氷 狐
春の寒さ楽する人にさはりけり   与 翠
松曳(ひき)はあたりの人に見られけり   松 什
きつとして山からさきへかすみけり   重 羽
ほと近く成て見えけり梅の花   亭 々
年札やつひに通らぬ道くたり   萬 頃
欠(かけ)るまてひと夜かすまむ月もなし   抱 儀
門松やたてゝ見たれはちとひくき   壽 堂
もそつとて逢(あわ)るゝ人のかすみけり   素 有
念入ていふや御慶の国なまり   楓 關

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