須賀川市立博物館図録 俳諧摺 上 -097/113page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

むつましや梅に柳の朝日かけ   草 栖
文字(ほうらい)のみねや夜影の猶(なお)高き   草 友
巻むしろまてとて来しか蝶(ちょう)一つ   草 甫
しら梅や里の日暮をすゝみ出る   芳 艸
初空にむかふて行や鳥一羽   完 鴎
魚うりにけさは起かつ袷(あわせ)かな   喜 山
むさし野や小松まはらに花菫(すみれ)   布 川
□梅や垣に木戸ある人出入   五 渡
□りの酒の香に見る柳かな   渓 齋
夕顔やほのほの明も暮もやう   未 足
散残し□とひら暮てけしの花   曲 川
□□□□□□□□□□□□□□   琴 堂
□□□□□□□□□□□□□□   更 貫
□□□□□□□□□□□□□□   彦 貫
傘さしてなかめて居るや雨の花   雪 麿
松竹のそよきにのほる初日かな   鳥 扇
夏(げ)こもりやしらねは遊ひ事らしき   文字 古
石蕗(つわ)の葉の地にうなたるゝ暑哉(かな)   伏 龜
膳(ぜん)に立陽炎(かげろう)や日は障子こし   呑 江
膝近うよせてすゝしや草の波   淡 處
くゝり出て卯(う)の花こほす家鴨哉(あひるかな)   精 知
指たとも見えぬ茂や五加木(うこぎ)かき   武 栗
菜の花のさかりや旅もして見たき   鳩 山
雨のあとかわくも早しはつ桜   清 暉
庵の夜も奇麗になりし蛍かな   斧 年
火の見えてくるゝ間のあり春の月   圭 布
春もまた寒き月夜や松の声   凌 華
月に坐(ざ)をゆつりて戻る花見哉(かな)   黙 庵
魚飛て松にそれ鵜(う)の羽音かな   田楽坊
雪のある山もひかんの日さし哉(かな)   麦 霞
何ひとつ動くものなし雲のみね   狐 立
 
  賀章おのおの前書を略す    
しら梅や寒さもしらぬ咲ちから   住よし
まきふやしふやして米の種おろし   無 底
余余(あまる)まて蒔(まき)殖しけり米の種   虚 楽
枝葉まてさせは根の出る柳かな   竹 外
文字に積こむ老の齢(よわい)かな 風客 松 郎
春なれやなへてみとりの九折(つヾらおり)   幽 香
三夫婦の一坐(ざ)にならふほたに哉(かな)   米 海
眉(まゆ)にふる契(ちぎり)もふかし松の花   呉 雪
月花もふたり前みる翁かな   蘭 城
また伸る節もいくつそことし竹   以 足
咲ほとの花にめてたき菊の色   ノ 左
もゝとせに手のとゝき鳧(けり)梅の花   野 外
くれないは老てもさめす梅の花   省 甫
文字(ほうらい)と齢(よわい)くらへん万年糧(まんねんかて)   霞 朝
老て後若やく木なり青柳   銀 岱
千代の色をかさねて茂る梅柳   木 紫
友とする松におよほす齢かな   緑 陰
老々て猶(なお)寒からしはつ袷(あわせ)   丹 洲
年若な人にましりて花見哉(かな)   鴎 侶
千年には幾世かさねて松の花   花月女
たのもしや屠蘇(とそ)にならひし老夫婦   希 聲
寄る皺(しわ)の年にうつくし峰の松   珍 齋
孫彦も玄孫(やしゃご)も鶴の巣立かな   雲 底
長閑(のどか)さや厳(いわお)に似たる松の幹   梅 丘
又芽さす米も八十八夜かな   雨 柳
薄垣に笑ふ影すく外山かな   希 石
老の手の杯よふや花のかけ   桃 呉
竹の子や殖るにつれて垣の外   李 陽
八方へはる□すゝし松ひと木   忍 和
黄鳥(うぐいす)の老しは去年(こぞ)の名のみかな   守 黒
若やかに年ふるものそ松と梅   雪 岡
十(と)かへりの松にくらふる齢(よわい)かな   松 郭
百まても笑ふ雀や千代の春   蘭 臺
松山の末の見こせぬしけり哉(かな)   東 洲
米の年松のよはひの梺(ふもと)かな   清 美
□□□□□□□□□□□□□   守 静
峰はまた遠き山路のしけり哉(かな)   湖 山
咲あかて根つよき梅の木ふり哉(かな)   田 甫
太はしや今もむかしの新らしみ   雨篁女
古茶新茶つきせぬ老の笑顔哉(かな)   省 我
香を汲(くま)ん老木の梅の下流れ   龍 湖
あやかりにわけてもらはん菊の苗   其 残

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は須賀川市立博物館に帰属します。
須賀川市立博物館の許諾を受けて福島県教育委員会が加工・掲載しています。