須賀川市立博物館図録 俳諧摺 上 -106/113page

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31 新年摺

このほとはそも
 かすむなり
     茶の木原
  紅梅にぬるはかりなる
          小家かな
   辰の春   和融園梅艫
 

32 新年摺

 口そゝく
  水にも
   むめの
  かほりかな
 
ひつしの
    はる   鷹 羽
 

33 新年摺

我影も
  旭に
 育ちけり
   小松引
  青松庵  
 巳の春   銀月 印
 

34 新年摺

庭掃て   閑 翁
 又外出する
   梅見かな
七五三(しめ)張し鳥居の内や梅のはな   蘭 好
橋ひとつ見立茶を煮る霞(かすみ)かな   茶 静
万歳や顔のほくろの愛らしき   樗 由
敷ならす砂のしめりや春の月   惟 草
炉の炭のうつる音してはつ鴉(からす)   仙 女
鶯(うぐいす)の人見おろして初音かな   祖 郷
 
  願ふ事ありて
是非ひらく福寿草にも手入かな   蘭 好
 巳のはる 仙鳧書  印
 

35 新年摺

和歌の浦貝文字(かむ)当てあふり海苔(のり)   蒼 丘
七草に足るも一日仕事かな   素 文
篭(かご)馴(なれ)て鳥静なり春の風   玉 令
滝の音の耳底にある余寒哉(かな)   蒼 髯
御降(おさがり)や富士の烟(けむ)りの浅みとり   梅 洌
外風呂(ふろ)の屋根にもうつす柳かな   五 陵
 酉ノ春
 

36 新年摺

 正月やおもしろ
   き日はくれ安き
 
たつの春 花酔軒 印
 

37 新年摺

  旧号を継てはしめて
   はるにむかふ
藪(やぶ)かけや月の
余りを梅かほる
 未とし 竹 江  印

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