須賀川市立博物館図録 俳諧摺 下 -065/100page

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55 新年摺

 
敷砂のはゝき目たゝしはつ日かけ 文字
海山のにほひもそうて七五三(しめ)かさり 蓮阿
一月や猫もかさりの鈴さけて 春山
炭の火に事足る庵のむ月かな 燈眠
川添の家や柳のひとけしき 杜郎
はつそらやゆるゝ柳に眼のはしる 陽谷
春空や雨にならねと気のぬくみ 桃石
一日や家例その見のほとほとに 六樹
船頭に荷をきって売る和布(わかめ)かな 文字
ゆかりある人かゆくなり梅もらひ 未昇
去年の灯は森にのこりて初からす 髣セ
寒いにもほめやうのあり松のうち 舊渓
封切て一扇にうけるはつ日かな 蓮里
梅咲やかき根にのこるよこれ雪 松笠
初東風や門に柳のあれはこそ 文字
出代(でがわり)の袖ひきとめる子供かな 州甫
日おもてをとひとひつむやうくひす菜 稲波
梅さくやつかひこゝろも川手洗 觀月
たきる湯にのつとさす日や雉子の声 まさ女
こつそりと見て話しけり初芝居 まん女
常に目のとゝかぬ山やはつ日かけ 仙鳥
鶏の出てうたふ日かけやわか菜はた 白露
梅さくやおくれ年始のふたりつれ 露洒
遠里を見あてにゆくやうめ柳 旭露
身にしまぬ風も余寒のわかれ哉 露耕
はつ荷つむ車のうへやうめの鉢 萩露
一月やはや春めきし子ともうた 黄菊
見はらしやしほりしほりはうめ柳 菊露
  明治十八年 初春  盤鴻書印  
   

56 初老賀摺

 
  老ては益盛  
      なるへし  
見習はんかゝる 芹舎
   古木に梅の花  
野遊ひの言ひ 蓬宇
   こと葉なり梅柳  
老そめは年の 曲川
   花さくつほみ哉  
また若きうしろ姿や春の人 宇山
老そめのかはして久し松の花 旭齋
降ほとの雪にも青む柳かな 太甫
うら町や道もひらけてうめ柳 觀月
別荏(ママ)へさすや初日のうやうやし 菊露
はつ老の亀や尾先の浅みとり 柳依
   初老自賀  
老そめて親しく 瓦金
       なりぬ梅柳  
     丙戌のとし  鴎波書 文字 

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