須賀川市立博物館図録 俳諧摺 下 -066/100page

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57 蓮阿初老賀摺

   
気さんしに咲て居るなり山桜   芹舎
老初てこゝろのとけし庵のぬし   得水
月花の遊ひたねなりはつ白髪   耕雨
千代や千代まつを花咲はしめかな   元海
是からや眉にもさかせまつの花   杏堂
見る中に睦月のものよ池のをし   等栽
万代の今日にある名や初日の出   素水
弾そめやそゝのかされて膝拍子   月彦
心こゝに落つく年のあした哉   みき雄
春雨や晴るゝに風も手伝はす   宇山
文字や式はすみても飾りおく   文禮
うくひすやまた花笠は着ぬはつ音   成雅
四十路また浮葉巻葉の蓮かな   聴松
はつ烏うれしの森は今日の名か   永機
潤はしき春とはなりぬ竹の節   壮山
雪も解氷もとけてうめの花  
文字の霞にひとし齢祝ひ   有儀
うるはしき声なり名なり金衣鳥   忍山
菜の花や気さんしらしき鍬遣ひ   太甫
蝶ならはよき道つれよ老のあし   袋蜘
まはらなる梅こそよけれ二日月   馬巖
はつ暦ひらくや花のあけこゝろ   如風
くもりなき年の光りや鏡餅   素吟
新らしや日に日に殖る春の水   雲冷
たゝの木も粧ふ花の盛りかな   葛美
梅さいて窓に朝日の匂ひけり   隈水
呼たらぬうちに返事や年男   松笠
春はまた寒し柳の若みとり   旭露
真上には鶴も舞ひけり小松引   文字
春の水末広々と流れけり   蓮史
見るたひに姿あたらし春の山   文字
小松引人の曠(ママ)着やはつ子の日   愛雪
文字や梺(ふもと)そよきの風もほし   瓦全
楽しさはちからに見えて小松引   布村
春風や真綿吹出す黒羽織   夢来
岩代に安達太郎嶺ありはつ霞 八十有古人 菊也
ひと二葉出るとひらくや福寿草   眠霍
黄鳥も東風のものなり今日も来て   桃石
したしみのますや梅にも柳にも   青山
初空や雲かと見れは鶴の舞ふ   蟻住
永き日や坐敷に残る莨(たばこ)ほん   萬女
降るほとは寒いてもなし春の雪   鯉住
茶の友を得て野を戻る子の日かな   陽谷
日のあしののひる柳や風のひま   一草
江にかけをひたしてあかる雲雀哉   杜郎
朝日さすかけもうるはし初手水   蓬仙
常にさへまけ嫌ひなり年男   其徳
雉子鳴や小松を引し野のあたり   松賑
遣り羽子や袂に見える畳み鶴   露晒
常ならぬまつのみとりや初日かけ   松古
あらためて月雪花の遊ひかな   柳六
文字にあける嘉例や伊勢暦   影山
陽炎や波につゝまる仲の石   月花
芦はらやそよりともせす初日の出   偵亮
囀りや四方から来る花の風   稲波
□□□□□□□□□□□□□   □□□
□□□□□□□□松の若みとり   寒□
千代となく声は雀よ今朝の春   霞川
とちらから見ても見あきぬ柳かな   一羽
またひとつ咲膝もとや福寿草   柳波
月さしていよいよ白し窓の梅   一尾
送り人もおなしきけんや春の月   政女
鶯のはつ音にとゝく日あしかな   仙鳥
薄着して出たるまうけやはつ桜   勸月
めてたさを留主へ書置御慶かな   文字
鶯や今朝は手つから庭掃除   髣セ
ふつくりとした日となりて福寿草   未昇
年を経てまさる色香や梅の花   蓮里
下蒔の育ちや鶴の下り処   梅林
十分の春とはなりぬ百千鳥   旧溪
見あけれは月もおわすや花の上   黄菊

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