須賀川市立博物館図録 俳諧摺 下 -072/100page

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久かたの雲井の空に舞ふ田鶴(たづ)の    
 ちよのよはいを君は経るらん 羽後 錦子
色かへぬ常磐(ときわ)のまつのみとり子に    
 かへりて君は千代を経なまし 岩代 久美
君ならてたれか数へむくれ竹の    
 そのふしことにこもる千歳を 為松
立かへり千代もすめかしむら千鳥    
 よる年波の浦はとこしへ 尚徳
万代を君にちきりてけふよりは    
 ちとせの松も若かへるらん 誠貞
としの坂六十ちを越て百千々(もゝちゞ)に    
 かそへはしめん春は来にけり 勝富
千とせ経る君かよはひの友ならん    
 のとかにあそふ和歌の浦鶴 元有
いつまても君かよはひのつもらぬを    
 見よとやふれる春のあは雪 幸永
あしたつの千代はみしかし君か身は    
 月日とゝもにかきりしられす まる子
ひとまわり六十路は越てくり返し    
 六十六千歳と栄え行らむ 秀臣
六十年は去年に過してくりかへす    
 ことしは千代のはしめ成けり ひさ子
千よろつをふる木の樫の枝も葉も    
 かはらぬやとの常磐とそ見ゆ 自国 映ミつ
やすやすと六十路こされてことしより    
 千とせの坂の杖もたのます 和多理
春秋とこすえの色はかはらねと    
 きみか齢そとこしへもかも 理固
ひさかたの雲井たかくもなりゆかん    
 君かよはひをいはふけふ哉 松圃
いろかへぬ老木のまつの寿きを    
 千代万代と祝ふけふかな 政俊
清き名は雲井のよそにきこゆらん    
 たかくかさぬる君か齢ひは 光正
みとりなる老木のまつも若かへり    
 猶千代かけて栄え行らん 行三
君か経し六十路にあまるひとゝせを    
 ゆく末なかく千代にかそへん 重宗
 恭賀樫村重巽君還暦寿儀 駿河 齋藤好道
文字猶見旧時姿 耳順高齢聞始知    
錬性養神元有術 唯施陰徳不施私    
 樫村重巽君六十一寿言 羽前 豊野東陽
昇寿六旬歳序新 積善余慶徳潤身    
家門栄達多祥瑞 不老長生百福臻    
 祝樫村重巽翁還暦寿 磐城 樫村朴齋
徳施辺邑見精通 職在治民称至公    
還暦寿莚開設日 南山瑞気靄無窮    
 奉賀樫村重巽君還暦 文字沼友次
家接郷校文字晤頻 恰如孟母ト比隣    
六十余一身猶健 真是陽報陰徳人    
 祝樫村重巽君還暦 福井雲嶺
徳望併高耳順年 子来千客画堂前    
詩歌管舞為君祝 寿至蓬文字不老仙    
 奉賀樫村君六十初度 羽後 天塚蘭澤
百歳寿猶余四旬 今年癸巳重逢春    
不知尊酒開莚日 車幾輌兮客幾人    
とし立や薪に留し矢背の里 東京 尋香
ねふき日のつゝいて青むやなき哉 七十五翁
掃おろす二階のちりや夕かすみ   梅年
わか餅やこねとりをする年かしら   芳泉
君か代の姿うつしてかゝみもち   花朝女
黄鳥のなかぬ家なし小梅村   清雅
玉水の光りをはなつ初日かな   松江
紅梅に見そへてふるき井筒かな   採花
つりあひは大きいほとよかゝみもち   箱浦
声なくて猶むつましや蝶二つ   ミき雄
松杉や新年ふるき朝月夜   永機
出ついてに七野めくらん梅若菜 西京 犂春
うくひすや紙あたらしき障子こし   葉舟
暮やとる松の軒端や羽子の音 大坂 鶯笠
雨はれやひとつたしかにはつ蛙   南齢
冴かへるものゝひとつや窓の竹   似水
わか水に成しか水の安らかさ   卓志
朝々に大事の窓ようめの花 伊勢 果樵

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