須賀川市立博物館図録 俳諧摺 下 -074/100page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

一まはりまはりておなし花の道   風山
さす枝のさかりなりけり松のはな   小錦
文字やみな香のふかきもの斗(ばかり)   遠勇
文字や老のすかたのよき似合   よし女
よろこひのけふさきかけや福寿草   かね女
茂りあふ中のしけりや松の花   たか女
十かへりの猶あらために若みとり   愛山
申分なき咲やうそ福寿草   正祝
春なかの口ひらきなり初若菜   如雲
  万世緑毛の号を得て海陸に    
  自在なる亀によせて樫村可祝老の    
  還暦を祝す    
千万の齢ひかさねん亀の春 岩代須賀川 壮山
  還暦を祝す詞書を略す    
花やかな春とはなりぬかさり海老 守山 仁山
むかしから詠れつゝきてはるの水   新之
文字や家のしまりの居ところ   宝山
すこやかな顔のうつるやかゝみもち   あさ女
太はしや先いたゝきてもち直す   文字い女
おさな気の見えていさまし小松曳   ミね女
幾千代もかはりなき世の御慶かな   ふミ女
やり羽子やかさぬる数のいく千歳   はつ女
鶴に似し老の姿や今朝のはる   つね女
君か代をうたふてはつむ手まり哉 少年 はる女
嬉しさをそへて引たる小松かな とよ女
としよりの笑かほうれしや蕗の薹 正生
福ひきや皆かよろこふものはかり 倫三
去年よりは引こゝろよき小松かな 幸作
花まてはきっとなるなり蕗の薹 本徳
際たちて色よき松やはつ日影 本信
千歳のよろこひをひく小松かな 正吉
すゝめさへ躍る軒端や千代の春   恵吉
年よりも若うなりけりきそはしめ   半蔵
皆かみなわらふては引小まつかな   半 
老のため雪もいとはす摘わか菜   ミね女
ひこはへの枝もしけりてうめの花   せつ女
すこやかに千代も愛てなむ松囃子(まつばやし)   ミつ女
ぬくぬくと葉もかさねけり福寿草   くま女
千歳の載せところなり恵方棚   朴齋
橙や若かへりてもおなしいろ   清水
十かへりや千代を見初る花の色   包齋
幹たけに枝葉のしける柳かな   伯子
ことさらに鶴もやとりてまつの春   可笑
千代こめて色潤はしや松の花   清山
幾千代をかけて匂ふやうめの花   静雲
すこやかな声のひかりや百千とり   寛子
ふしことに千歳をこめてかさり竹   一山
いさきよき寿の字や筆はしめ   文字
日に向てまさる色香やはつ若菜   その女
常磐木につれて栄えん老の春   うん女
福わらや直な手筋にもつ光り 四女 はな女
月花にくりかへしてや初こよみ 三女 ひさ女
元日や仰けはたかき峰の松 二女 てつ女
このうへも千歳をいのるはつ日かな 長女 ちか女
  我実家樫村氏は天正の頃より爰に継続    
  し実父可祝翁は常に親戚に陸に慈愛を    
  以せり今年還暦の賀莚を開かるゝを祝して    
里ふりてこゝに久しき家名喜(やなぎ)かな 三男 長俊
  父可祝翁は教て倦す慈善の志に富て    
  ことし還暦の賀莚を開き給ふに    
おたやかな老の波路やたから船 二男 重忠
  父可祝翁は壮年より文武にここゝさし    
  官に仕へて愛国の念厚く壮健にして今年    
  還暦に値ひ其賀莚を開くに    
一の矢のかまひいさまし弓はしめ 長男 重功
  夫の還暦の賀に子孫等のつとひ来りて    
  ことほくことのよろこはしさに    
幾千代をともなふ松のみとりかな 寿美女
  還暦自賀    
朝ゆふのめくみや門の有米柳(うめやなぎ)   可祝
  明治癸巳の春  応需 俳林書印    

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は須賀川市立博物館に帰属します。
須賀川市立博物館の許諾を受けて福島県教育委員会が加工・掲載しています。