須賀川市立博物館図録　俳諧摺　下 -076/100page

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大空は凧のうなりや太郎月 上毛 桒古
屠蘇の香の添ぬ人なし朝のうち 　 峨琴
としこえて人よろこはす草木かな 岩代 壮山
しら雪に深切見せて門礼者 陸中 友山
初烏あとはよろこひからすかな 仙台 南山
子供等に喰勝れけり雑煮餅 　 雨窗
小野からの初啼や梅と炭俵 羽後 吟風
不断行家をはしめの御慶哉 　 月静
あらたまる年なほ広し我心 加賀 麦成
着ふくれて丸々とるや玉の年 　 居中
面白のおもて白さよ初明り 　 賢外
万才や雪沓（）くつはいて里わたり 　 招鶯
はつ年や豆にきけんの神の馬 　 木成
此寝さめいくつもほしく初からす 　 北江
我よりも齢寄多し国の春 　 可梁
二人来て戸口賑はし若菜売 　 梅湫
初としや心のはらふ神路山 　 甫立
七草や一くらいつゝ七位 能登 文字声
注連に添て尽ぬいろ也親子草 　 三寅
遊ふ日を拾ふてみるやはつ暦 　 竹文字
水早し洗ふ若菜も一つかみ 　 芝石
わかなつむ連にもならす飛鳥 　 素水
撞（つき）やみし鐘の手際や去年今年 　 青雅
来る年や無事泰平とかをる梅 越前 香雨
うへもなき世にする空や初日の出 　 鳥林
数増て命うれしき雑煮かな 　 拝水
門松や雪敷詰し根のしまり 　 柳醒
初日の出撫（なで）るや老の眉の霜 越後 文字石
旅せねはあはれぬものか富士の山 　 抱月
香に袖を引れて又も梅見かな 　 晴雲
初空のはつものなれやふしの山 　 文瑣
水に影栄花をうつす柳かな 　 青斧
黒棚の傍迄来ませ嫁か君 　 石樵
わか水や梅活（いけ）るにも硯にも 　 山齋
舞初や酔ても揃ふ足拍子 　 成蹊
雪はなほ清し白きは初日影 　 拈華
はつ東風や神の灯も動かさす 　 碩宇
伸上り鶴も山見るはつ日かな 　 緒拙
はつ東風や我に斗と思ふほと 　 柳帙
雪に火を焚たあとあり梅の花 　 蛍谷
初空のなほ余りあり神路山 　 文字住
霞にも紅さし昇る朝日哉 　 天江
筐（かたみ）にも心つかれて初若菜 　 丈苞
神山の灯はまた冴てはつ烏 越中 美杉
烏来し方とやいはん初かすみ 　 星石
照添て朝日匂ふや松かさり 　 仲子
ひらく日を待て開きぬ福寿草 　 嵐江
ほうらいにおもひ出しけり浦けしき 　 翠竹
数の子や千代の月日の新しき 　 素桂
門松や画かく斗に日の障る 　 柳雪
帆の利て霞の舟と成にけり 　 成竹
きけは気のあらたまる也はつ烏 　 波山
二日にも最ひとつ開け福寿草 　 兎元
万才の笑家並に残りけり 　 松鳳
三椀迄思案もいらぬさうにかな 　 友歩
気転よく廻る乙子（おとご）や棚下し 　 一芳
太はしや手に余るほと心地よき 　 士峰
天の戸にひゝく声あり初烏 　 明運
無事ほとの宝はあらしけさの春 　 旅白
うくひすの初音入けり四畳半 　 魯雪
一日や人はしつかに起上る 　 愛　
いさ引ん老のちからも弓始 　 西蘭
はつ暦見る時旅のねかひ哉 　 枕石
としひとつ添て来にけり初暦 　 春圃
舞なれて鶴も祝ふや初日の出 　 良壷
筆墨の熨斗も解けり吉書始 　 桃塢
初とりや潤ひ初る家のうち 　 一朗
万才や古めかしくも舞すます 　 春汀
其声は鶴にゆつらすはつからす 　 箕山
梅か香にしらしらのくや朝くもり 後志 不争
春寒やまた藪住のにほひ鳥 　 墨雨
大福（おゝふく）や泡もつきせぬとしの数 出雲 曲川
美しい年は来にけり門の雪 　 好一
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