須賀川市立博物館図録 俳諧摺 下 -081/100page

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美しきことの葉くさや福寿草   素風
初夢を朝茶はなしの序出(ついで)かな   朴齋
一夜さも旅はたひなり冴返る   米甫
引鶴や古郷道も久しふり   雪窓
酒つくる泉もてある柳かな   文規
鶴は田に下りけり空に舞雲雀   北外
梅提て藪入らしき支度かな   一松
梅に明け柳にくるゝわか家哉   可祝
  明治二十九年第一月    
     

73 新年摺

   
松山を出て来て    
 むめの流かな    
       羽洲    
輝くや連なる山にはつ日の出   梢美
神棚に切火の音や初からす   芳處
遊ふ子の知恵もすゝむやけさの春   素心
初東風の吹払けり去年の塵   春江
砂払ふ烏帽子の紐やはつ子の日   美澄
齢自慢はかりの客や年始会   淡水
月花に設けた窓やはつ明り   其徳
万歳と呼ふもうれしや門の声   梅守
出て行はわれも礼者のひとり哉   無揚
愛敬に最ひとつ咲く福寿草   支仙
    丙申とし    
     

74 琶岬七十賀摺

   
  石井君の七十の賀をむかへ給ふと    
  きゝて    
かきりなき君の齢をひさかたの    
雲井はるかに祝ふけふかな 若松 壽則
七十の春を迎へて動きなき    
いしの水や千代に流れん 奥川喜寿 盛至
濁り行世には習はて幾千代も    
いしいの清水澄かへるらむ 若松 規義
千歳山のほらん君か杖にとて    
かねてうへにし園の呉竹 八十二叟 曉村
珍らしく経し七十路をことしより    
また七度を君や重ねむ 八十一姥 千枝子
千万にかけす崩れす動きなき    
いははし山は君かよはひそ 義恵
ことしより千とせの山の梅さくら    
花をかさして君やこゆらん 俊彦
三千とせに咲てふ花を幾度か    
君や見なまし亀に習ひて   重敬
梓弓春に会津の安積山    
たかねの松の齢へぬらん   北章
おのつから石井の水の清けれは    
万代しめて亀や住らむ 福良七十四 き南
稀なりといへる齢をふもとにて    
千代さかへ行きみそ愛たき   信壽
過行し暦を捨て早とゝせ    
またのこよみも君やかそへん 猪苗代 美香
植置し常磐の松は君ならて    
千代のよはひを誰にゆつらむ 若松 喜一
君の行千とせの阪にくらふれは    
また七十はふもとなりけり 猪苗代姪 英知
 賀琶岬石井翁古稀寿    
蕉翁遣韻入新篇 味月吟花七十年    
蘭玉満偕春暖処 風流宜抵小神僊 石城 大須賀文字
  同    
喬木数竿擁玉堂 円林緒佑帯和光    
最韻供老窓風趣 十七字顕冠一方 福良 松本柳場

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