須賀川市立博物館図録 俳諧摺 下 -083/100page

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松か枝に鶴の遊ふや花の友   龍齋
松竹に千代もやちよも老のはる   松花
はしり枝の長き老木やうめの花   雪峯
春立やことに稀なるみとりせつ 赤津 窗月
長うなる日の楽しさや百千とり   夏川
麗はしき艶もつ髭や飾海老 福良 梅塢
年徳や備る餅も七かさね 三代八十六 希柳
いにしへも今も変らすとしの花 須賀川 文視
長閑さや鶴は七重の雲の上   北外
わか草や数の中より扇丈   雪窗
梅か香や籬(まがき)の外を何処迄も   米甫
名に高き老木や花も七重八重   魯石
鶯もいての目先やもゝちとり 居村 香存
このうへも幾十返りそ老の春   離山
八重垣をこして見ゆるや松の花   里山
万才や先七福を口ひらき   水心
天晴な花てこそあれ福寿草   金重
長閑なる髭の光やかさり海老   月虫
古木程香も又深しうめの花   双枩
七十の数をはつみの手鞠かな   女竹
動く度伸るはかりの柳かな   与祢女
先年の齢を鶴の八声かな   湖風
  兄たり弟たる石井君の古稀を祝す    
いさともに摘ん芹あり若菜あり 九十五翁 三生
  石井君の古稀を保す    
万歳や寿しと打つゝみ 福良 六石
このうへも生かさねてもゝ千とり 白川 竹晴
誰目にも老木と見えす花の色 猪苗代 文字
  掬水園の翁は菊のしたゝりを    
  結て別号となせしものならんや    
  今年古稀の齢をかさねて菊    
  児童の如くまめやかなるを寿く    
無量寿の花咲にけり老の春   壮山
  祖父健に七十の春を迎へられしに    
此上にさく千万やとしの花 沈流
  慈父古稀の春を迎へしを    
いつ迄も幹も丈夫にまつの花 香澤
爺さまの上下ちよつと衣かへ 少年 捨雄
  結婚五十二年夢の間に    
  過て良人ことし古稀の    
  春を迎へけれは    
何事も連て嬉しややとの春 尾上女
  なす事もなく古稀の春を    
  迎へ諸大家より賀章を    
  恵まれし有かたさに    
わけもなく月日重ねてとしの花   琶岬
  四 時    
觜(くちばし)の自在にまはる蚕かな   同 
閑子鳥この一つ家は手もさても   同 
むさむさと馬の喰けり露の草   同 
手の伸るほとは動かぬこたつかな   同 
  落 墨    
根つよさの色に出けり霜の松 若松 道梅
古過て猶おもむき有や花の兄 七十五 護六
諸ともに幾世重ねん梅椿 居村 湖島
  追 加    
七ひろに余れる幹やまつの花 東京 箭浦
おもしろき春や雪まて舞て降   芳逕
老木から咲て見せけりうめの花   不二雄
是からか誠の春よ梅のはな   俊賀
万代のかさし種也うめ椿   採花
あと先のとちらも長し老のはる   幹雄
  琶岬老の古稀を鶴の画を贈りて    
  寿く    
舞鶴の広けるやうそ空の春   青宜
  石井大人の古稀の賀に併て    
  茶竹堂主人の床上を祝す    
袷着てまつは嬉しき便り哉 下総 竹城
蝉の鳴ほとは樹もある住ひかな 乙外
板はしや洗ふ若菜の置所 尾張在東京 二道
子を肩にのせて野を行霞哉 安房 椿山
  丙申の三月   応需七十八老青宜書印    

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