須賀川市立博物館図録 俳諧摺 下 -090/100page

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若竹や百まで踊る鳥の声 七三叟 眉八
十かへりの花や人にもひとめくり   樵翁
一めくりしてからもとの花見かな   旭扇
老て尚松のみどりのつやつやし 七六叟 菊翁
薫風やこけむす楠の長(とこしえに)   有里
  春秋庵幹雄宗匠撰    
老松や杖はついても若みとり 大坂 古今
五月雨や窓にとりつく草のつる 二本松 鳥山
海遠く見ゆる坐敷や夕すゝみ 東白川 茗吟
簾(すだれ)まて新しくして茶の風味   鬼骨
謡初言ひ合さねと皆袴   萩のや
水打た後は涼しきひる寝哉   なほ女
今虹は消えた計りや夏の月 福田 修竹
火を乞へは茶も出す梅の主哉 越後 初泉
夕立のあとの涼しや松の月 東京 梅枝
詩は成らす孤燈更たり郭公   緑樹
夕風になひく早苗の緑かな   一三
文字の根〆賑し福寿草   竹亭
咲くまてにしてもらひけり福寿草 粟野 含雪
年役に坐を譲られて月涼し 大坂 照琴
二度三度掃て月待坐しき哉 仁井田 照洲
老木には似ぬ咲ふりや梅の花   竹亭
色変へぬ松は千年の姿かな 福島 文雅
花に杖減らして延す命哉 越後 文龍
是からも歳十かへりそ松の花 大坂 仙年
原中や思ふ処に梅の花 仁井田 花山
一つ宛秋に入けり今朝の鐘 杉田 多計三
門先は広う持たし夏の月 東京 新雅
時雨ては日のさす松の匂ひかな 越後 霞汀
  大修堂桃石宗匠撰    
都には知らぬ深さよ越の雪 越後 旭湖
藻の花や汐に曳るゝ釣小舟 君子
花に杖へらして延る命かな 文龍
飼鳥は春を告けり冬籠(ふゆごもり) 下川崎 霞松
柴の戸の笑ひ聞ゆる霞哉   秋水
楽しさや開けは菊の招状 川俣 丈雪
縫上げし日を釣初る蚊帳哉 常陸 石窗
巣を出る鳥も千歳や松の花 大坂 窗月
枝も葉も見えぬ桜のさかり哉 仁井田 花山
摘草や日和を包む小風呂敷 越後 團齋
老木にも幼ふりあり初桜 大坂 柳芳
舟の灯は早し柳の三日月 東京 鶴女
立かへるとしやみどりに明る空 愛知 千山
月花や雪にも芽張る糸柳 判者 桃石
我こゝろ己れにある時風涼し 三木雄
吹風は花なり花の麓村 催主 曉雨
風添て気色とゝのふ柳かな 鬼骨
明治乙巳秋    
     

81 新年摺

   
□□□□□翠も深し年の松 東京 鳳聴
□□□□□みとりも深き山の松 芳律
□山の□あらためし霞かな 宣秀
松茂る園や今より月に雪に 永機
長閑さや千代を翠の松の声 京都 楓城
植かへし松の翠や花の園 静陰
其中に松はみたりぬ梅林 大阪 素雲
松の声としたちかへるしらへかな 摂津 露城
たのもしき松の翠や春の山 伊勢 社楽
あらたまる年やみとりの山高み 尾張 羽洲
翠なほふかし三河の五月山 二道
夜もりんと松の翠や山かつら 遠江 木潤
梅園や風には寄らぬ香のはしり 金宇
丹精の園に溢(あふ)れてきくの花 霞笑
茂るらん松は千歳の育ちふり 苟文
あらためて薫る斗りや園の梅 文字
生茂る松の翠や園の山 芦洲

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