ふくしま海洋科学館学習指導の手引き -044/097page
No.3 北の海獣
(1)海獣とは
海獣類は、いくつかの全く系統 の異なる陸上哺乳類が、水中生活 者へと適応したものです。イルカ やクジラの仲間(鯨類)は、最も 古い時代に水中に進出した動物群 で、体が魚形になり水中の生活に 最もよく適応しています。
ここに展示しているゴマフアザ ラシ、トド、セイウチは、四肢が ヒレに変化した鰭脚類です。ラッコ はイタチのなかまで、前肢はヒレ 状にはなっていませんが、後足の 水かきで水の中を上手に泳ぐこと ができます。水中生活者としての 適応の仕方を比べてみてください。
(2)ゴマフアザラシ(アザラシ科)
ゴマフアザラシは、北半球の寒 い海に最も普通に見られます。 体色は、灰色の地色に黒色および 白色の斑点かゴマをまいたように あり、ときにはそれが集まって黒 つぽく、または白っぽく見えます。
ゴマフアザラシは、いろいろな 魚類や、イカ、タコ、エビ、カニ などを食べ、二枚貝は歯でかみ 割って食べます。奉になると繁殖 期をむかえ、流氷の上に真っ白な 毛皮の子を産み、氷の上で育てま す。子どもの毛は2〜3週間ほど すると親と同じような黒い斑点が ある毛にはえかわります。このころになると海での生活がはじまり 親から離れて魚などを自分の力でとるようになります。
(3)トド(アシカ科)
オスは体長3mに達し、アシカ 科の中では最大となります。体重 はメスで350kg程度ですか、オス は1000kgを越えるものもおり、 たてがみを持ち、口ひげも長く、 堂々たる風格をしています。
全身は黄褐色で、ひれ状の前後 肢が黒褐色をしています。群れで 行動していますが、極めて用心深 く、よく統制がとれています。
トドは、岸の近くで生活し、タラ、 タコ、イカなどいろいろなものを食べます。5月から8月の繁殖期 にはオス1頭にメス10数頭のハーレムをつくり、メスは1頭の子を産みます。