ふくしま海洋科学館学習指導の手引き -055/097page

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 オホーツク海には、シベリアの大河アムール川から流れ込む大量の淡水が海面に広がります。そしてここに冬の強い風が吹き抜けると、 海面が凍り、それが流氷となります。流氷には多くの植物プランクトンが含まれこれらは氷がとける春になると急激に増え、動物プランクトンの よいエサになります。すると、動物プランクトンを目当てに多くの魚が集まります。こうして流氷は豊かな北の海の生き物を育みます。

 ここでは豊かなオホーツク海にすむいろいろな生き物を紹介してしいきます。

(3)岩陰にすむ魚

 岩場ではオオカミウオやナメ タンゴなどを見ることができます オオカミウオの口には教本の犬歯 があり、恐ろしい顔つきをしてい ますが、実際はさほど強暴ではな く、むしろ水槽を覗きこむと水面 まで上かってくるような、人なつ こい一面もあります。アイヌ語で はチップカムイ(神の魚)と呼ばれます。

 ナメタンゴ、は、名前の通りの 団子のような体にたくさんのこぶ がついています。泳ぎはあまり 得意ではなく、腹ビレが変形した 吸盤で岩に吸い付いてじっとして います。

画像 ▲クマガイウオ
▲クマガイウオ

画像 ▲オオカミウオ
▲オオカミウオ

画像 ▲ナメタンゴ
▲ナメタンゴ

(4)藻場にすむ魚

 藻場ではホッカイエビやイソバテングを見ることができます。 ホッカイエビは海草の色などに合 わせて鮮やかな緑色になります。 このエビは雌雄同体で、オスから メスに性転換するため、体の大き いものは全てメスです。

 イソバテンクは胸ピレや背ビレ が大きく目立ちます。若魚は藻場 などでよく見られますが、成魚に なるとやや深い場所に移動します。

(5)流氷の役割

画像 ▲ホッカイエビ
▲ホッカイエビ

画像 ▲イソバテング
▲イソバテング

 海水が凍ったものを海氷といい、 流氷は海氷の一種です。海氷がで きる北の海では、塩分が濃縮され たブラインと呼ばれる海水か深い 海底に沈み、代わりに栄養塩の多 い、底層の海水が上昇します。

 栄養塩の豊富な海水中では、 流氷に含まれるアイスアルジーと いう植物プランクトンが春に繁殖 し、それらは動物プランクトンの エサとなります。さらにここには、 動物プランクトンをエサとする 魚類や海獣類などが集まり、流氷 は北の海を豊かにする原動力となっ ています。

画像 ▲オホーツクの循環
▲オホーツクの循環


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