機関誌創刊号「しおめの海」 -005/008page

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ゴクラクハゼ

 全長約8cmで、利根川以南に生息しています。このハゼは、それほど珍しいハゼではありませんが、水族館の水槽内での繁殖は報告されていません。

 実験施設では、平成10年の秋に産卵が確認され、数百尾の稚魚が誕生しています。

繁殖したゴラクハゼ
繁殖したゴラクハゼ(Rhinogobius giurinus)

ツクシトビウオ

 6月に定置網で漁獲された親魚の卵と精子を人工受精し、約2週間後に稚魚が孵化しました。胸ビレの模様が成長とともに変化し、小さいながらも水面を滑空するようになりました。

 また流れ藻に付着していた二ノジトビウオ属の卵から孵化した稚魚も育っています(表紙)。

人工受精で誕生したツクシトビウオ
人工受精で誕生したツクシトビウオ(Cypselurus heterurus doederleini)

アマミイシモチ

 奄美大島より南のマング口ーブのまわりに生息しており、雄はロの中で卵を保護します。この魚の飼育下での繁殖例は今まで報告されていませんでしたが、実験施設では、平成11年4月に水槽内での繁殖に成功しました。

繁殖したアマミイシモチ
繁殖したアマミイシモチ(Apogon amboinensis)

 このほか、他の施設で繁殖例のなかったシロウオ、リボンスズメダイ、コモチサヨリ、フクドジョウ、ヨウジウオなども、繁殖に成功しています。

(飼育展示課 津崎 順)

新種のヌエハゼの採集

水生生物の分布調査

 展示の基礎資料をつくるため、県内の生物の分布調査を精カ的に行っています。その結果、絶滅が心配されているゼ二タナゴと水生昆虫のタガメの生息場所を確認することができました。また、会津地方の陸封型イトヨ、各地域のメダカについても調査を行い、採集したものを実験施設で繁殖させたり、定期的に生息場所の調査を行っています。

 このほかにも、北海道に分布しているフクドジョウの福島県内での生息を確認したり、これまで浜通り地方(福島県の太平洋側)では分布が確認されていなかったアカザ(ナマズの仲間)を採集しています。また、昨年福島県内で発見され、新種として記載されたヌエハゼの採集にも成功しました。

(飼育展示課 津崎 順)

淡水生物の分布調査
淡水生物の分布調査

福島県で発見されたヌエハゼ
福島県で発見されたヌエハゼ(Siphonogobius nue)


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ふくしま海洋科学館の許諾を受けて福島県教育委員会が加工・掲載しています。