機関誌第3号「AMFNEWS」 -004/008page

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 しおめの海

マグロを飼育する

マグロ
マグロ

 サバ科魚類のうち、マグロの仲間は全世界で21種が知られています。これらの魚は紡錘型の体をしていて、外洋を高速で遊泳するのに適しています。

 広い大海原を走り回るマグロの仲間を水槽で飼育するには、様々な困難がありました。当館で飼育展示している「メバチ」「キハダ」「カツオ」について、収集、輸送、水槽内飼育する上で、私たち、飼育係が経験したことをご紹介しましょう。

 採集する…温暖な気候をもつ奄美大島で採集を行いました。
熟練した漁師とともに乗船して釣り上げた魚を船の生け簀(水槽)に収容します。最初は、常に泳ぎ続けなければ死んでしまうこの魚たちを、船上の狭い生け簀でどのように落ち着かせるか、試行錯誤の連続でした。
一つの工夫として「これらの魚は水槽の底を見ながら泳いでいるのでは」と想像し、生け簀の底面中央に直径30cmの黒い円形模様をつけたところ、四角い生け簀をスムーズに周るようになりました。
これは、以前館長が話された「マグロの仲間は、何かの目標物に対して旋回する」ということを実証することにもなります。

 また、狭い生け簀に収容したキハダが泳ぎにくそうにしている時に、生け簀中央に棒を立てると、棒の周りをうまく回ることもわかりました。
これらのことをヒントに、生け簀底面の模様の他にも、生け簀の中央に酸素の泡を出し、ここにライトを照らすと船上輸送は事故なく無事に行えるようになりました。

 以上のことから、マグロの仲間は泳いでいる時は、前方、左右だけではなく、底面にも注意していることが想像できます。

採集船の生け簀
採集船の生け簀

 輸送する…輸送は、水槽付きのトラックを使用しました。
他の水族館などでは、大きな活魚船を使用しているところが多いのですが、コストや時間などを考えると機動力がある方が有利です。
活魚船よりも水槽は狭いのですが、水槽内の模様や目標物に対して中心を旋回するという性質を利用すると狭い水槽でも3日間程度なら暮らすことは可能であると判断していました。
これがうまく的中して一回に体重1.5〜3.0Kg近いこの仲間を40〜50個体輸送できました。

 このとき見たのは、狭い水槽内で暗いライトが点灯されてはいますが、日が落ちると泳ぐスピードが落ちてゆっくりと水槽内を旋回する事でした。簡単には言えませんが眠っているのかもしれないと推測できました。

 また、1.5〜3.0Kgあるカツオは、狭い水槽内では泳ぎにくそうにしていました。

 口の開閉が類繁になり、酸素欠乏になっているように見えましたが、原因はよくわかりません。試しに餌を与えるとよく食べました。するとスムーズ

トラックの水槽
トラックの水槽


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