機関誌第4号「AMFNEWS」 -003/007page

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 しおめの海

ふくしまの淡水魚

Fresh Water Fish in Fukushima by Makoto kuraishi

「ホトケドジョウ」

「ふくしまの川と沿岸」の展示エリアには湧水を再現した水槽があります。この水槽で展示されている 「ホトケドジョウ」について紹介します。
ホトケドジョウという名前は、お地蔵様が魚に化けたという言い伝えから名付けられたようで、名前からも分かるとおりドジョウの仲間です。全長は6cm程で体型はずんぐりとしています。口にはヒゲが4対(8本)あり、ドジョウの5対(10本)と違いますが、このヒゲを使って砂の中のイトミミズや水草の間に潜む小さな生き物を感じ取って食べます。

水族館では主に、ユスリカの幼虫(アカムシ)を与えていますが、ホトケドジョウはよく泳ぎ回り、餌を与えている手に乗ってくるほどです。
他のドジョウの仲間たちが水底でぼそぼそとエサを食べるのと比べると、あまりドジョウらしくないと言えるかもしれません。

 産卵は、4月下旬から6月の夏本番前に行われます。水草や藻類などの間で1匹の雌に数匹の雄が追いかけるようにして行われます。
卵は、水草などにくっついて孵化を待ちます。孵化した稚魚は3mm程で、すぐに泳ぎだして散らばり、水草等の陰に隠れて、捕食者(例えば他の魚、ヤゴやコオイムシといった水生昆虫)から身を守ります。翌年には産卵に参加できるようになれります。

私たちの福島県内の調査結果では、ホトケドジョウは湧水と関連した田んぼの用水路や山間の細い水路などごく限られた環境に生息していることがわかりました。
ここで、湧水とはどんなところかを簡単に説明しましょう。
山に降った雨は、地面にしみこみます。そして植物と大地が必要な分だけ吸い取り、残りは地下水となります。その地下水が再び地上に出てきた所が湧水となるのです。
水は、土によって濾過され、暑さや寒さなどの外気温に左右されずにほぼ一定の

ホトケドジョウの生息地
▲ホトケドジョウの生息地 habitat of the Lefua roach


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ふくしま海洋科学館の許諾を受けて福島県教育委員会が加工・掲載しています。