機関誌第7号「AMFNEWS」 -004/007page

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TOPICS 1 水性生物保全センター6月15日オープン

Center for Conservation of Aqua-Life that opened on June 15

 6月15日に水生生物保全センター(Center for Conservation of Aqua-Life:CAL)がオープしました。CALは、こわれやすい水辺の自然を保全する役割を中心に、飼育の難しい生物の飼育技術開発、繁殖研究、野生生物の保護活動、希少生物の調査・研究等を行います。CALの主な機能について紹介します。

水生生物保全センター
▲6月15日に水生生物保全センター
Center for Conservation of Aqua-Lifethat opened on June 15

観覧通路
▲観覧通路
Exhibition passage

水生生物保全センター内部
▲水生生物保全センター内部
lnsid of the Center for Conservation of Aqu-Life
今年中には、30t水槽2基、10t水槽3基、5t水槽6基、3t水槽6基、小型ガラス水槽がそろいます。

●展示技術開発

サンマをはじめ飼育が難しい生物の飼育技術開発を行っています。CALではいくつか試験水槽を設けて、展示に向けての試験飼育を行います。

●展示生物準備

 採集してきた生物は、直接本館の水槽で展示するのではなく、採集時や輸送中の傷病を治療するため、CAL内に設置している水槽へ搬入します。そして元気になり、餌付いてから展示水槽へ移します。また、展示水槽で飼育していた生物のリハビリも行ないます。

●植物の育成

 CAL内には太陽光が直接入る温室があります。この温室では、本館「熱帯アジアの水辺」コーナ−で展示しているヤエヤマヒルギなどのマングロ−ブ植物をはじめ、亜熱帯〜熱帯地方に分布する植物を育成します。

●希少生物の調査・研究

 福島県内にある495河川および猪苗代湖をはじめ、数多くの池沼の調査を行なっています。淡水環境は人間の社会活動に伴い、急速に環境が変化し、そこに生息している生物は危機的な状況になりつつあります。自然の多く残る緑豊かな福島県も例外ではありません。CALを拠点として希少生物の繁殖研究を行なうとともに、生物の多様性の意義について普及活動を行います。

●野生生物の保護活動

 発見された海鳥類(ウミネコ、セグロカモメ他)、ウミガメ類、海棲晴乳類(キタオットセイ、イルカ類)を当館の獣医が中心となって治療を行ない、体力が回復次第自然界に戻すことにしています。また、大玉村にある福島県鳥獣保護センターとも連絡をしています。保護された海鳥の多くは、釣り針を飲み込んだり、釣り糸がからまるなど、釣り人のマナーの悪さが原因となっています。野生生物と人間が共存するためには、何をすべきか、何をしてはいけないのか、一人一人が考えなくてはなりません。

●常設展「卵から育てる水族館」

 日本動物園水族館協会では、日本で初めて飼育下において野生生物が繁殖し、生後6ヶ月以上生存したものについて「繁殖賞」を与えています。当館は、平成12年度にサンマ、ゴクラクハゼ、コモチサヨリ、リボンスズメダイ、アマミイシモチの5種について繁殖賞を受賞しました。

 「卵から育てる水族館」では、これらのアクアマリンふくしまで繁殖した生物を展示しています。

 これからの水族館は、展示生物の繁殖研究、生物の生活史と環境について研究することが大切です。そして、消耗的な展示ではなく、展示生物を再生産し、失われつつある自然環境を考えながら展示を続ける必要があり、繁殖の成果を常設展示しています。「卵から育てる水族館」は、単なる展示にとどまらず、アクアマリンふくしまの方向性を示唆する重要な役割をになうものであると私たちは考えています。

 (繁殖育成課 山内 信弥)


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ふくしま海洋科学館の許諾を受けて福島県教育委員会が加工・掲載しています。