機関誌第7号「AMFNEWS」 -005/007page

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TOPICS 2 企画展「南太平洋のウミサチヒコ」

Special exhibition "Culture of Austronesia"

マリンホールにつくられた展示場
▲マリンホールにつくられた展示場
  Special exhibition hall

ポリネシアンレビュー
▲マリンシアターで行なわれたポリネシアンレビュー
 Polynesian revue in Marine theater

 4月25日から6月11日まで、企画展「南太平洋のウミサチヒコ」〜オーストロネシア民族の文化〜が開催されました。アクアマリンふくしまの展示テーマは黒潮と親潮が出会う潮目の海です。このテーマに沿って黒潮の源流域にすむ生き物たちが展示されています。
ではその地域に住む人々は、どのような生活をしているのでしょうか。そんな発想から今回の企画展は生まれました。

 黒潮の源流域である南太平洋には数多くの島々が点在し、そこでは私たちと同じモンゴロイドが住み、母語としてオーストロネシア語が話されています。
オーストロネシア語は台湾の先住民から、フィリピン、マレーシア、インドネシア・方面の諸民族の言語をほとんど網羅し、メラネシア、ポリネシア、ミクロネシアのほぼ全域で使われています。また、縄文時代の日本でも使われ、現在の日本語の中にもその影響がみられるとする説もあります。
そして、そのオーストロネシア語を話す南太平洋の人々に語り継がれる神話には、日本の神話との共通性が見られます。ひとつの釣り針をめぐって兄弟が争うウミサチヒコ・ヤマサチヒコの神話はその代表的なものです。
今回の企画展では、この神話をモチーフとして、南太平洋の人々のさまざまな、暮らしと文化を紹介しました。マリンホールに作られた展示場では、タパと呼ばれる木の皮で作られた布や、武器、楽器、釣り針などの、数多くの貴重な資料が展示されました。
また、水槽の中では、タコやシャコガイ、モンガラカワハギなどの神話に登場する生き物たちを見ることができ、これまでの博物館ではなされなかった、生物展示と標本展示を融合させた新しい形の展示を行うことができました。
期間中5月26日、27日にはハワイカウアイ島のアーティストによるポリネシアンレビューも開催され、訪れた多くの皆さんに楽しいひと時を過ごしていただけたことと思います。

 南太平洋というと、日本からは遠く離れたところというイメージがありますが、そこには実はたくさんの不思議なつながりがありました。今回の企画展は私たち日本人の魂の故郷を求める旅だったのです。

(環境展示課 安田 純)


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