福島県植物誌 -006/483page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

梯山,吾妻山を採集した。尾瀬平では7月30日に,ナガバノモウセンゴケを採集している。これ は,川上滝弥がエトロフ島で採集したよりも11日早かったが発表していない。1903年になって, 当時のことを植物学雑誌に発表した。これから尾瀬の植物が注目されるようになった。また同誌 に会津において採集した植物目録を発表した。これは福島県の植物目録の最初である。

 白井光太郎は内務省から天然記念物調査を委託され,尾瀬沼付近長葉毛氈苔自生地調査報告を 1927年に出している。牧野富太郎は1929年尾瀬で採集した植物に,サジバモウセンゴケ(和名), オゼザサSasa oseana Makino(1931)→ Sasa yahikoensisMakino var. oseana(Makino)S.Suzuki, オゼノサワトンボHabenaria osensis Makino → H. yezoensis Hara var. longicalcarata Miyabe et Tatewakiを 命名した。中井猛之進はオゼヌマアザミCirsium homolepis Nakai(1930), 三木茂はオゼコウホネNuphar ozeense Miki(1937)→ N. pumilum DC. var. ozeense(Miki)Hara(1951)を記載した。

 武田久吉は1905年以来,たびたび尾瀬に入り植物の研究をしている。1927年東京営林局の委嘱 で発電計画に関して現地調査を行い植生調査報告書を出す。

 飯柴永吉は1907年植物学雑誌に「東北地方植物目録 其二 福島県之部」と題して,尾瀬付近, 沼尻山,磐梯山,吾妻山の植物を蘚類をふくめて発表した。これは前記早田文蔵の植物目録に次 ぐ初期の発表である。飯柴はコケ植物を研究し,磐梯山を基準産地とするHaplocladium capil1atum var. brotheri Ihsiba, 飯豊山を基準産地とするDicranum blyttioides Broth. ex Ihsiba, 吾妻山および飯豊山を基準産地とするDrepanocladus fluitans var. brotheri Ihsibaを発表した。

 植松栄次郎は,1908年頃県内でStereodon puleherrimus Broth. ウメツゴケやAmblystegium uematsui Broth. バ ンダイヤナギゴケを採集している。梅津米蔵は伊達郡伊達町の出身で,玉木精 一は耶麻郡奥川村出身で共に高等植物のほかコケ植物を採集した。ウメツゴケやクマキチリメン ゴケの和名がある。

 小泉源一が吾妻山で採集し命名したアズマホシクサEriocaulon takae Koidzumi(1913)は吾 妻山のほかには見出されていない。福島県特産の植物である。また小泉が磐城で採集したヤナギ に,シロヤナギSalix hondoensis Koidzumi(1913)と命名記載した。なお,小泉が1916年吾妻 山鎌沼で採集したウスキシメリゴケは岡村周諦によって,日本新産として報告されている。

 中井猛之助は,小泉源一の岩代国高倉山頂採品により,コゴメアカバナEpilobium fauriei Léveilé var. simplex Nakai(1908), 飯豊山採品によってヒナコゴメグサEuphrasia nummularia Nakai(1412)を記載した。 またトリカブト類の分類について新知見を出し細別した。本県関


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は福島県植物誌編さん委員会に帰属します。
福島県植物誌編さん委員会の許諾を受けて福島県教育委員会が加工・掲載しています。