福島県植物誌 -012/483page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

るが,太平洋岸,福島,郡山盆地,奥羽山脈,北 関東山地付近では0.5℃から3℃程度の低温化 を示し,阿武隈山地付近ではやや高温化傾向を 示している。渡辺(1981)は1951年から1980年 までの資料を使用し,各地点毎の有線回帰式に よる変化係数より,福島,郡山,小名浜,会津 若松など,県内で相対的に都市化の進展してい る地域で高温化傾向を示し,特に郡山では 5.6℃/100年の比率で昇温していることを指摘 している。この結果と比較すると,高温化傾向を示している阿武隈山地や低温化傾向を示した福 島,郡山,会津盆地周辺では矛盾した結果となっている。AMeDAS観測開始以前は気象官署(福 島,小名浜,白河,会津若松)以外,日平均気温は最高気温と最低気温の和を1/2して求め,こ れを月毎に平均し,さらに,月平均値を用いて年平均気温を計算していた。これに対して, AMeDAS観測開始以後は,すべての観測地点で毎正時24回の測定値から日平均気温を計算し, これを用いて月平均気温,年平均気温を計算している。両者の差は福島で+0.5℃,白河で+0.4℃, 会津若松で+0.5℃と,すべて最高気温と最低気温の和を1/2して求めた値の方が高くなってお り,低温化傾向の出現は観測方法の差異に大きく影響されているものと考えられる。第1図に示 した年平均気温は毎正時24回の観測値を用いている点からすれば,福島気象台(1974)の年平均 気温の分布より時間的な代表性があるものと考え られる。

図1 年平均気温(実線,℃)と温量指数(破線)の分布
図1 年平均気温(実線,℃)と温量指数(破線)の分布

 第2図は福島県内29地点の観測点の海抜高度 と年平均気温との関係を示したものである。両者 の相関係数は0.96と有意な相関関係があること を示している。この両者の関係を最小二乗法に よって一次式で近似すると
    T(℃)= 0.00583 × H(m)+ 12.4
と表わされる。

 ただし,Tはその地点の年平均気温,Hはその 地点の海抜高度である。福島県内における年平均

図2 年平均気温(℃)と海抜高度(m)との関係
図2 年平均気温(℃)と海抜高度(m)との関係


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は福島県植物誌編さん委員会に帰属します。
福島県植物誌編さん委員会の許諾を受けて福島県教育委員会が加工・掲載しています。