福島県植物誌 -013/483page

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気温の海抜高度の差異による補正は100m当り0.58℃となる。この高度に対する気温減率は必ず しも一様ではなく,相対的に大気中の水蒸気量が少ない冬季には0.58℃/100mより大きくなり, 大気中の水蒸気量が多い夏季には小さい値になる。

 さらに,林木の温度要求度を評価するのによく利用される吉良(1971)による温量指数〔WI〕
        WI = Σ(文字(Tの平均値)− 5)
の分布を第1図に年平均気温の分布と併せて示した。

 ここでは文字(Tの平均値)は月平均気温で,月平均気温が5℃より高い月を積算して求めたものである。福島 県内29地点の観測所の資料では,この温量指数の最大値は福島市で98.9,次いで小名浜98.5とほ ぼ暖帯林と温帯林の境界の値を示している。また,吾妻山周辺では50以下の数値を示し,県内の 山岳地帯では亜寒帯林に位置する数値が出現している。

 なお,温量指数で年平均気温の相関係数は0.99と有意な相関係数を示し,温量指数がAMeDAS 観測値を使用しても,林木の温度要求度を正しく表現するとすれは,福島県内の場合,ほぼ年平 均気温分布で分類しても同じ結果になる。すなわち,両者の関係はほぼ一次式で
        WI = 6.67 × T(℃)+ 12.5
と表わされ,年平均気温が13.1℃以上の地域では暖帯林,6.4℃以下の地域では亜寒帯林に分類さ れる。

 また,温量指数と各地点の海抜高度との関係を第3図に示す。両者の相関係数は−0.94と有意 な相関関係を示し,一次式で近似すると
        WI = −0.0385 × H(m)+ 94.7
と表わされる。

 すなわち,この近似式は福島県内で暖帯林が存 在せず,海抜高度1,000m以上の山地では亜寒帯 林が分布することを示す。しかし,これらの数値 はあくまでも福島県内の観測値を使用した,平均 値的な議論であり,実態と対応させるためには,局 地的な差異を十分考慮して使用することが必要で ある。

図3 温量指数と海抜高度(m)との関係
図3 温量指数と海抜高度(m)との関係


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