福島県植物誌 -014/483page
2.日照時間の分布
日照時間とは太陽からの日射が雲や霧にじゃまされず,直接地面に到達している時間を示すも のである。この年平均日照時間の分布を第4図に示す。
福島県内の日照時間の分布は太平洋岸で多 く,内陸に向うに従って少なくなる傾向を有し ている。特に南斜面を有する吾妻山周辺の鷲倉 では1,460時間,桧枝岐では1,350時間と,最も 日照時間の多い太平洋岸の広野の60%程度と なっている。福島県内の日照時間は,冬季,特 に西部程季節風の影響を直接受けて降雪日数が 多いこと,また,南斜面に面している山岳地帯 では,斜面上昇に伴う雲が形成されやすいこと に関連している結果と考えられる。
日照時間と気温との相関係数は0.68と有意な相関関係を直線で示すものの,その関係を直線で 近似するには困難がある。これは前述の通り,福島県規模では年平均気温が海抜高度に大きく依 存していること,また,年平均日照時間は斜面上昇に伴う対流雲の発生との関係で,平均的には 海抜高度が高い所程少ない傾向を有していること,さらに,入射した直達放射はすべて熱エネル ギーに変換される訳ではなく,地表の状態(反射能)によって異なることと関連している。なお, 日照時間と日射量が必ずしも一致しないことも気温分布とよい相関関係を有しない原因である。
3.降水量と蒸発散量の分布
年平均降水量の分布を第5図に示す。福島,郡山盆地,および,会津盆地で相対的に降水量が 少なく,福島県西部の越後山脈,吾妻山周辺の山岳地帯で相対的に多くなっている。こうした分 布傾向は福島地方気象台(1974)の1941年から1970年の30年間の年平均降水量の分布傾向と同 様である。しかし,量的には,会津盆地,越後山脈,吾妻山周辺の山岳地帯で約300mm程度少 なくなっている。
福島県内の降水は,奥羽山脈より西部で,夏季と冬季にピークの存在する二山型,奥羽山脈よ り東部で,夏季から秋季にピークの出現する一山型に区分される。この降水をもたらす主な原因