福島県植物誌 -016/483page

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ている。しかし,福島県内では,年平均的にすべて過湿状態にある。

 なお,蒸発散位の高度変化を第7図に示す。前述の通り,蒸発散位と年平均気温との相関係数 は+0.98と大変よい相関を示す。従って,蒸発散位と高度との相関係数も−0.94と有意な相関関 係を示し,両者の関係を一次式で近似すると
        E(mm)= −0.182 × H(m)+ 714
と表わされる。ここではEは蒸発散位を示す。

 すなわち,福島県内のスケールでは,ほぼ気温が海抜高度に依存しているので,気温に大きく 依存する蒸発散位は,気温と同様,海抜高度の一次式でほぼ近似することができる。

4.風向,風速の分布

図8 年平均風速と年平均最多風向の分布
図8 年平均風速と年平均最多風向の分布

 第8図に年平均風速と,年平均最多風向の分 布を示す。これをみると,ほぼ全域で西風成分 が卓越していることがわかる。これは年平均最 多風向が冬季の季節風に大きく依存しているた めで,福島県内では6月から8月頃にかけて比 較的南成分,または,東成分の風向が卓越する。

 一方,風速の分布では,比較的風通しのよい 高所で(鷲倉では3.7m/sec)強く,他で1.6m/sec程度 となっている。福島県内では,3月から 5月にかけて月平均風速が強く,7月から10月にかけて弱くなる年変化が一般的である。3月から 5月にかけて月平均風速が強くなる原因は,この期間福島付近を通過する低気圧が最も多いこと, 太陽高度が高くなりつつあり,地面の昇温で大気成層が不安定になり,上層の運動量を活発に下 層へ輸送することによる。この運動量の鉛直輸送は平地の地上風の日変化でも顕著で,日中,相 対的に強風となり,夜間,相対的に弱風となるのは,日中,日射による地面付近の昇温により,対 流混合が活発化し,運動量の鉛直輸送が行なわれるためである。

5.降雪,積雪の初,終日の分布

 降雪現象の初日の1941年から1970年までの平年日の分布を第9図に示す。山岳地帯では11月 10日頃,会津地方は11月20日頃,奥羽山脈より東部では11月30日頃,太平洋岸では12月10


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