福島県植物誌 -017/483page
日頃となっている。奥羽山脈の西部,会津地方では主に季節風によって降雪がもたらされ,奥羽 山脈の東部特に太平洋岸では,南岸低気圧によって降雪がもたらされることが多い。降雪日数も 会津地方では100日以上,中通り地方では60日前後,太平洋岸では20日前後と西部程多く,東 部程少なくなっている。この降雪現象の終日の平年日を第9図に示す。太平洋岸では3月20日頃, 中通り地方では3月30日頃,会津地方では4月10日頃,山岳地帯では4月20日頃となっている。 すなわち,福島県内の降雪の初日も,終日もおおよそ西部と東部で1ヶ月の隔たりがある。
さらに,積雪状態になる初日と積雪状態の終る終日の分布を第10図に示す。積雪の初日は山岳 地帯など,最も早い所で11月30日,最も遅い太平洋岸で12月30日と,約1ヶ月程度の隔たり がある。積雪の終日は,最も早い太平洋岸で2月20日頃,最も遅い山岳地帯で4月30日頃と約 2ヶ月以上もの隔たりがある。
6.霜の初日と終日の分布
霜の初日と終日の1941年から1970年までの 平年日の分布を第11図に示す。霜の初日は奥羽 山脈,阿武隈山地,北開東山地などの山岳地帯 で10月20日頃と他の地域に比べて早く,会津 地方,中通り地方では10月30日頃,太平洋岸 では11月10日頃となっている。この分布は,ほ ぼ冬季の平均気温分布に対応し,気温の低い所 程早く出現している。