福島県植物誌 -023/483page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

比較的平坦な盆地である。盆地面は,ほとんど完新世につくられた地形面からなり,2〜3段に区 分されるが,比高はそれほど大きくない。大川・宮古川・濁川などの天井川がつくる氾濫原や扇 状地も広い。盆地下には最大150mをこえる第四紀層が発達するが,完新世の地層は意外と発達 が貧弱なところがある。盆地と東西両側の丘陵や山地の境界は直線状をなすところが多い。丘陵 や山地をつくる新第三紀層や更新統下部が盆状や撓曲状の形をとって盆地下に沈みこんでいると ころが多いが,盆地西縁の北部や盆地東縁の南部では断層で境されている。田島盆地は,大川や その支流にそってひらけた狭長な小盆地で,高度500m以上の河岸段丘・扇状地などのくみあわ せからなるが,河床付近には新しい氾濫原の発達するところもある。会津盆地のように,周囲の 山地との間に明瞭な構造的境界はみいだされない。しかし,周辺の丘陵域には,会津盆地と同じ ように,砂礫・砂を主とする更新統下部がかなりよく発達し,第四紀のはじめ頃から盆地がつく られていた地域であることがわかる。

 会津盆地の北・西・南側や田島盆地の西・南側には,かなり広い範囲を占めて山地や丘陵が分 布する。会津盆地の北西方には2,000mをこえる高度を有する飯豊山地が分布する。この山地は一 部古生層を含む中生層(ジュラ紀層)とこれを貫ぬく花崗岩類とからなる。この山地の東側には, 高度1,500mほどの大塚山・飯森山などの山地が分布する。この山地は会津盆地の北側にあたり, 中生層(ジュラ紀層)を基盤として,新第三紀層の最下部や下部が1,500mほどの厚さに発達する。 この地層には,礫岩・砂岩・泥岩などを主とするところと緑色凝灰岩類・流紋岩・安山岩などを 主とするところがある。飯豊山地の南側,すなわち会津盆地の西側には,比較的高度の低い丘陵 性の山地(磐越山地)が分布する。この地域では,新第三紀層の下部から上部までと更新統下部 の地層がよくそろって発達し,NNE〜SSE方向の断層褶曲構造もよく発達する特徴がある。新第 三紀層は下位より,黒色板状泥岩・緑色凝灰岩・砂岩と泥岩の互層・硬質黒色泥岩・砂岩と泥岩 の互層・塊状砂岩の順にかさなる下半部の約800mの厚さの海成層と軟質の砂岩・泥岩・礫岩の 互層状の地層で凝灰岩や亜炭をはさむ上半部の約700mの厚さの陸水成層とからなる。更新統下 部は,砂礫層と火砕堆積物である凝灰岩を主とする300mの厚さの陸成層からなっている。

 会津盆地西縁の山地や会津盆地の南方から只見や舘岩などにいたる1,200〜1,500mの高度の 広大な山地域(越後山脈)には,新第三紀の緑色凝灰岩類や石英安山岩質凝灰岩(駒止峠層)な どが広い範囲を占めて分布する特徴がある。とくに,上にのべた緑色凝灰岩類は新第三紀層の下 部や最下部を占めて1,500m以上の厚さに発達し,多数の流紋岩溶岩をはさむほか,上部にはかな り厚い板状黒色泥岩や玄武岩などをはさむ。これらの地層はほとんど海成層であるが,この上位


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は福島県植物誌編さん委員会に帰属します。
福島県植物誌編さん委員会の許諾を受けて福島県教育委員会が加工・掲載しています。