福島県植物誌 -042/483page
表7 アカマツ林の組成(樫村 1974より改変) 林
床
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調査林分数 6 15 4 3 高木層 ミズナラ II 1 I 1 ・ ・ ・ ・ コナラ III 2 II + II + ・ ・ アカマツ V 4 V 4 V 4 V 4 亜高木層 ウラジロノキ II 1 I 1 ・ ・ ・ ・ アカシデ II 1 II + ・ ・ ・ ・ ネジキ I + II 1 ・ ・ ・ ・ クマシデ III 1 ・ ・ III + ・ ・ アオハダ I + II 1 II + ・ ・ コバノトネリコ III 1 III 1 III + ・ ・ コナラ III 2 III 1 V 1 II 1 リョウブ III 1 IV 2 V 1 IV 1 ホウノキ I + ・ ・ IV + ・ ・ ミズナラ II 1 II 1 III 1 III + ヤマウルシ II + III 1 ・ ・ IV 2 低木層 ヤマボウシ III 2 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ミズナラ IV + I + ・ ・ ・ ・ コゴメウツギ III 1 I + ・ ・ ・ ・ コシアブラ II + I + ・ ・ ・ ・ ツクバネウツギ III 1 ・ ・ II + ・ ・ ヤマウルシ IV 1 III 1 ・ ・ II 1 ヤマツツジ I + III 1 II + II + アセビ ・ ・ II 1 ・ ・ ・ ・ クロモジ IV 1 III 1 V 2 ・ ・ リョウブ I + I + IV 1 II 1 マンサク I 1 I + IV 1 ・ ・ ホツツジ ・ ・ II + IV 1 ・ ・ バイカツツジ ・ ・ ・ ・ IV 1 ・ ・ シラキ ・ ・ I + III + II + ミツバアケビ ・ ・ ・ ・ III + II 1 草本層 ガマズミ II 1 I + II + II + ミツバアケビ II 1 II 1 ・ ・ II 1 チゴユリ IV 2 II 1 V 2 II 1 ヤマツツジ I + IV 2 II 1 ・ ・ シシガシラ I + I + IV 1 ・ ・ オヤリハグマ II 1 I + III 1 ・ ・ モミジハグマ II + I + V 1 ・ ・ アクシバ I + II 1 V 1 ・ ・ ショウジョウバカマ ・ ・ I + IV 1 ・ ・ イヌツゲ ・ ・ II 1 III 1 II 1 ヒカゲスゲ I 1 I + III 1 II 1 アキノキリンソウ I 1 I + III + IV 1 ツタウルシ I + I 1 II + V 1 豊山塊は充分亜高山帯に達する高さ をもつにもかかわらず,アオモリト ドマツの成林どころか,アオモリト ドマツ単木の成育もみられない。ア オモリトドマツは雪の深い山岳ほど 成長がわるく(斎藤 1974),飯豊山の ような日本海に面する第一線の高山 ではアオモリトドマツの成育をみな いか,成林するとしても叢林状の小 規模な林分をみるに過ぎない(鈴木 1952,石塚ほか 1975)。吾妻山−飯豊 山のラインでみると,最西端のアオ モリトドマツ林分は栂ヶ峯の山頂 (熱塩加納村)にあり,福島県自然環 境保全地域として保護されている。
亜高山帯針葉樹林の主役は,福島 県域の山岳の場合,アオモリトドマ ツである。なお,亜高山帯下部では コメツガ,キタゴヨウ,クロベなど も混じる。また,燧ヶ岳一帯の平坦 地ではトウヒも混じる。さらに特筆 されるべきこととしては,東吾妻山 と高山の間の鞍部に当る鳥子平周辺 にはシラピソも混じる。シラピソは 中部山地では亜高山帯針葉樹林の主 要樹種の一つであるが,東北地方で はこの鳥子平にみられるだけであ り,シラピソ分布の北限として注目 される。シラピソはアオモリトドマ