福島県植物誌 -045/483page
西会津町大久保台倉山,標高770m,斜面の向き N−45°−W,傾斜30°。
表9 スギ林の組成 高木層(20m) ス ギ 4 ブ ナ 3 亜高木層(8m) ス ギ 2 オオバクロモジ 1 リョウブ 1 ブ ナ + タムシバ + ハウチワカエデ + コバノトネリコ + 低木層(2m) ス ギ 2 ムラサキヤシホツツジ 1 オオバクロモジ 1 チシマザサ + リョウブ + イワウチワ 4 シノブカグマ 2 ヤマソテツ 1 タムシバ 1 アクシバ + アカミノイヌツゲ + 湖岸の天神浜,志田浜,舟津浜,青松浜,崎川浜などにもみられる。しかし,舟津浜以外では観 光開発が進み,自然景観はいちじるしく損なわれている。また,裏磐梯の泥流堆積地の上にもこ の種のアカマツ林が広く成林している。このアカマツ林については植栽という云い伝えもあるが, 林相を見る限りでは自然成立の部分も多いと思われる。
以上,地形土壌的極相としてのアカマツ林の例を挙げたが,勿論これだけではなく,各地に多 くの例を挙げることができよう。
3)キタゴヨウ林及びその他の尾根すじの森林
前記のアカマツ林がゆるい尾根すじに成立するのに対し,キクゴヨウ林は土壌のうすい急峻な 尾根に成立する。キクゴヨウは,同じ五葉松でもヒメコマツとは姉妹性を見せ,日本海岸側の山 地に偏った分布を示す。豪雪の越後山地は雪による布状浸食が激しく,尾根はナイフの刃のよう に鋭くなっていることが多い。このような尾根にキクゴヨウが列生して細長い林分が形成されて いる。
キタゴヨウ林にはスギが混じり,尾根がやや広くなった所ではスギの優占林分がみられること もある。こうした天然のスギ林は,よく見かける植栽スギ林と異なり,令構成は多斉で下層木に もスギが多い。大沼郡金山町本名(ほんな)の奥にある三条及びその奥の本名御神楽岳,さらに耶麻郡西会