福島県植物誌 -046/483page

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津町の木地夜鷹山等には福島県自然環境保全地域として保護されているスギ林がある。また,西 会津町安産の山々の一部には,キクゴヨウやスギに混じってコウヤマキの自生がみられ,コウヤ マキ分布の北限として注目されている。ここにも福島県の自然環境保全地域として保護されてい る所がある。

 関東以西の太平洋岸側の山地にはウラジロモミが分布するが,その分布の北限が福島県にかか り,しばしばウラジロモミの優占する林分がみられる。館岩村湯の花から栃木県に通ずる林道周 辺の尾根には,ウラジロモミの優占林分がよくみられる。

 前述のヒメコマツは,その分布の北限は阿武隈山地北部にあり,花塚山,高瀬川渓谷,二ッ箭 山などに自生がみられるが,とくに一つの森林型を設けるほどの実態は知られていない。

4)モミ林,イヌブナ林 及びその他の急傾斜地の森林

 阿武隈山地にしばしば見られるモミ林とイヌブナ林について,吉岡(1952,1954)は太平洋岸 側の一部の中間温帯の気候的極相と考えた。しかし,これらの森林の立地の多くは急傾斜地かそ

表10 モミ林の組成(樫村 1974より)
林床型 I II

 



II



III



III



I

 

II

 

III
高木層         
 アカシデ 1 2
 ケヤキ 2 1
 ブ ナ 1 1
 モ ミ 4 3 3 4 3 2
亜高木層            
 チドリノキ 1 1
 モ ミ 2 1 2 3
 リョウブ 1 2
 アオハダ 2 2 1
 イヌブナ 1 2 4
低木層            
 イヌガヤ 2 2
 カ ヤ 2 2
 モ ミ 2 1 1
 ヤプムラサキ 1 1 1
 クロモジ 1 1 1


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