福島県植物誌 -047/483page

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表10 続き
林床型 I II

 



II



III



III



I

 

II

 

III
低木層            
 ミヤマガマズミ 1 1 1
 シラキ 5 3 1
 イヌブナ 1 4
草本層            
 テイカカズラ 3 2
 アキノキリンソウ 1 1
 チゴユリ 3 1 1 2
 タガネソウ 1 1 2
 ミヤマシキミ 1 1 1
 ゴヨウツツジ
 モ ミ 1
林床型は I;ミヤマシキミ型,II;チゴユリ型を示す。くわしく は樫村(1974)を参照。

れに続く崖錐であり,むしろ,土壌がうすくて不安定な急傾斜地に成立する地形土壌的極相と考 えるのが当を得ているように思われる。そして,モミ林はとくに土壌のうすい岩層土上に,また イヌブナ林は多少とも土壌の発達のよい所にみられる。また両者の境界領域では,吉岡(1952)の 交代優占説を支持するような,イヌブナとモミが互層をつくるような林分も多い。

 阿武隈山地は,その中央を縦に走る畑川破砕帯の東側で地盤の隆起が著しく,深いV字谷がい たる所に発達し,急傾斜の側壁も多い。モミ林とイヌブナ林はこの一帯で広大な拡がりを見せて いたと思われるが,近年の伐採によりその多くは消滅した。現存する林分は,今は阿武隈の自然 を指標する貴重な記念物的存在である。それらのうち,鹿島町橲(じさ)原,原町市大原の新田川渓谷の 一部などが福島県自然環境保全地域に指定され,保護されている。その中心はモミ林である。ま た,阿武隈山地東部のいくつかの渓谷を中心として福島県立自然公園の指定があるが,この地区 にも優れたモミ林やイヌブナ林がみられる。とくに夏井川の支流である江田川の一帯は,詩人草 野心平によって背戸峨廊と名づけられた景勝の地であるが,その植物景観の主体は林床にスズダ ケが密生する典型的なイヌブナ林である。

 モミ林とイヌブナ林の成立範囲はせいぜい奥羽山地の東部までであり,それより西側の急傾斜


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