福島県植物誌 -054/483page
表13 猪苗代湖周辺の沼沢地植生(鈴木ほか,1982より) 植 生 型 ハンノキ ヨ シ 林
分天
神
浜
IV法
正
尻
III銚
子
ノ
口
III平
潟
X蟹
沢
IV法
正
尻
II高木層 ハンノキ 4 5 ・ 4 ・ ・ 亜高木層 ハンノキ 1 2 2 2 ・ ・ 低木層 イヌコリヤナギ 1 ・ 1 ・ ・ ・ ヨ シ ・ 4 1 1 5 4 ミヤマウメモドキ ・ ・ ・ ・ + ・ 草本層 アゼスゲ + ・ 5 ・ ・ ・ エゾリンドウ ・ 1 ・ 1 ・ ・ エゾシロネ ・ + 2 ・ ・ ・ ヌマガヤ ・ ・ ・ 1 ・ ・ ノイバラ 2 + ・ ・ + ・ < /tr>ミソハギ ・ 1 2 ・ ・ 4 まで残されている例は極めて少ない。福島県の自然環境保全地域として保護されているものでは, 大沼郡昭和村の矢の原湿原,耶麻郡磐梯町の法正尻湿原,伊達郡霊山町の石田ブヨメキなどがあ る。また,耶麻郡猪苗代町の天然記念物となっている蟹沢湿原,西白河郡西郷村の天然記念物と なっている熊倉湿原なども,今となってはかなり貴重な存在といえるであろう。国指定の特別天 然記念物である尾瀬が原湿原も,その中心となるものは後述する高層湿原であるが,周辺部の低 湿地のヨシ原は低層湿原のカテゴリーに入る。裏磐梯にも,前述のヨシ沼沢から低層湿原に移行 しているものもある。
低層湿原の主要な植生はアゼスゲやオオカサスゲなどの大型スゲを混じえたヨシ群落である が,トキソウ,カキラン,サワギキョウ,タチギボウシ,ミズギクなど美しい花も多い。ミズゴ ケ類ではヒメミズゴケがふつうであるが,やや乾いた所ではオオミズゴケもよくみられる。
ハ)高層湿原
高層湿原は,低層湿原の泥炭層がさらに盛り上り,富栄養の地下水の影響下を離れて貧栄養の 降水でうるおされるようになったものをいう。凸レンズ状に中央部が盛り上るため,高層湿原特