福島県植物誌 -056/483page
図25 尾瀬ヶ原における高層湿原中心部の徴地形と植物の分布(樫村ほか 1979より)村の宮床湿原と南会津郡田島町の黒岩湿原が福島県自然環境保全地域として保護されている。
4)なだれ地低木群落
日本海岸寄りの豪雪の山地では,雪による布状浸食が激しく,山腹は急傾斜地をなす所が多い。 このような所ではなだれが多発するため,ブナ林のような高木林は成立し難く,タニウツギやミ ヤマナラなどしなやかな低木の群落となる。こうした低木林は,只見川上流部の田子倉ダム,奥 只見ダムの周辺山地でよくみられる。ただし,これらの低木林のなかには,かつての伐採作業に よると思われるものも多く,一概になだれ地低木群落と考えるのは危険であろう。
5)高山植生
福島県での高山帯の下限がどのくらいの高さになるかははっきりしない。標高が2,024mの西 吾妻山の山頂部がアオモリトドマツ林に覆われていることからして,少なくとも標高2,000m前 後の山頂部にみられる低木林や草原は山頂効果によるもので,真の高山帯ではないと思われる。高