福島県水産試験場研究報告 第10号 - 010/073page
推定に有用であるとして、産卵時期の推定を試みている。
なお、成熟期にはまだ早いと見られた、1987年1月28日と29日に、請戸地先海域において船曳網で漁獲され、請戸漁港に水揚げされたイシカワシラウオをサンプリングしたが、まだ成熟していないこの時期では案の定、これらの性比はほぼ、雄:雌=1:1であり、そして、このときの雌魚の卵巣重量の平均は0.04g、GSI平均も4.5%と低かった。
生殖腺重量指数(GSI)の経時変化
産卵場と目した、小良ケ浜と熊川の前面地先海域に、蝟集してくるイシカワシラウオ親魚が、経時的にどのように成熟してくるかを調査した。刺し網で採取した親魚の雌魚について、一標本あたり10尾前後を取り上げ、体長・体重を計測するとともに、卵巣重量・卵数・卵径に関しての、精密調査を実施した(表−4,5)。卵巣は腹側から見て、右側のもの(以下右葉と呼ぶ)と左側のもの(以下左葉と呼ぶ)とに分けられる。この右葉と左葉に分けて、重量を計測し、GSI(卵巣重量/体重×100(%))を算出した。(図−6)に雌魚GSIの経時変化を示した。
GSI平均が20%を超えたのは、2月下旬からであり、3月中旬〜下旬に最大となり、25〜27%となった。4月以降は、―部放卵後と思われる個体が混じり、GSI平均は、増減を繰り返した。4月下旬以降は、放卵終了と思われる個体(右葉、左葉とも小さく、GSIも6〜8%と小さい)が、混獲されるようになった。6月中旬以降に至り、GSI平均は20%以下となり、産卵も終期に近づいていることと、推察された。
GSIの変化で見る限り、この地先のイシカワシラウオの産卵は、3月中下旬以降に行われたと推察された。また、GSIが4月以降、増減を繰り返したことにより、何回かにわたり産卵が行われたと考えられた。
卵・産卵数
採集した親魚雌魚の卵巣を観察すると、腹側から見て、腹鰭基部を中心として、これより上部(頭の方)右側に右葉、下部(尾鰭の方)左側に左葉があり、これを取り出したのが(図−7)。